『永遠の終わり』アイザック・アシモフ/『夏への扉』ロバート・A・ハインライン/『さよならダイノサウルス』、『ターミナル・エクスペリメント』ロバート・J・ソウヤー

最近、寝取られ小説たてつづけに何冊か読んだ。

この作品で扱われているのは‘未然の寝取られ’というもので、一目惚れした女が上役とやっちゃてるんじゃないかと嫉妬の炎を燃やすあたりの、後ろ向きな童貞的な妄想が実に良かった。アシモフという作家はよく知らないけど、なかなかこの分野に向いているんじゃないかな。

親友に婚約者を寝取られ、二人に裏切られる絶好の設定を全く活かしていない。寝取られた悔しさ、怒り、憎悪、そういった情念が伝わってこない。姦夫姦婦などと、主人公のやけに客観的な物言いも不満足。この作家の事はよく知らないけど、ネコのエッセーか何かなどの方が向いていると思う。

この二冊は実に良かった。前者は妻を親友、それも魅力的な黒人に寝取られる話。その親友と二人で行動するわけだが、妻がピロートークで夫である自分の、本当に知られたくないことまで親友に話す、なんて悪夢を見るあたりがよい。
後者はもう満点の出来で、妻の寝取られかた、寝取った相手のキャラなど、非の打ち所がない。この作者の良いところは、セックスに重きを置いているところで、そこから生み出される情念の深さこそ、寝取られの神髄だと思うな。よく知らないけど、作者はこの分野でかなりいいところまで行ったんじゃないかな。