白山大賞典(金沢)

 白山大賞典と関係ない話から書く。先週末、私の手元に日本中央競馬会からA-PAT登録用の書類が一式送られてきた。競馬会に提出するものと、銀行用に提出するもの、南関のSPAT4とほとんど一緒である。私はSPAT4登録時に、印鑑不鮮明ということで、書類を再提出するはめになった。血を吐くような思いで完成させた書類をである。今度は同じ思いをするまいと必死の形相で意気込んでいると、上司が「朱肉を補充すればいいのに」と言う。文字にしてたった十三文字である。早速補充すると、さっきまでかすれていた陰影が鮮やかに印されているではないか。私のようなものは、何事にも精神論で立ち向かおうとするが、大人は考えることが違うのだ。どうやってハンコを押すのか、ちゃーんとわかってる。
 しかし、誰にもわからないのが勝ち馬の名前である。もしも未来に行ってレース結果を見てきたらどうなると思いますか? それこそタイムパラドックスになってしまう。私はこのレース、ミツアキサイレンスを本命にしたのである。南部杯で中央勢にやられた地方勢が、ここで一矢報いなくてどうするという意気込みだ。そんな、赤穂浪士のような思いをミツアキに託したのである。ところが、横山典弘はそんな精神論は通じないよとばかりに、三角から一捲りしてさらりと圧勝してしまう。私のような地方びいきの精神が通じないかと思うと、少し残念である。
 しかしこうやって負けて砂利を噛むような思いをするのも、競馬の妙薬なのか。