流れよ我が涙、とザルカウィは言った

 今朝、テレ朝のワイドショーを見ていたら、ザルカウィの略歴を紹介していた。アルジャジーラで放送されたものを編集したものらしい。基本的に生い立ちは不明だが、1966年、ヨルダン生まれと言われる。ソ連のアフガン侵攻との戦いに終盤から参加。途中で支援を打ち切ったアメリカを恨むように。アフガンでの戦いが終わるとヨルダンに帰国。ユダヤ人襲撃を準備していたらパクられて懲役十五年の判決。堀の中でコーランに目覚め、いつしか刑務所内の指導者的立場に。恩赦で四年後に娑婆に戻ると、イラクで反米テロ活動を開始。アメリカからは目の敵にされて包囲され、イラク国民からも迷惑がられ、ビンラディンを頼ってアルカイダを名乗りはじめたとか。
 まあ、これがだいたいの放送内容。けど、結局謎の面が大きい。たとえば、金日成という反日革命戦士が半ば架空の人物(金日成という名の戦士はいたが、ソ連がその名を使ってうまくでっち上げたという話)であるように、ザルカウィという人物の正体だって知れたものじゃない。
 しかし、刑務所内でコーランを読み返し、目覚めてしまったというのはよくできたエピソードだ。同じ時に服役していた人のインタビューも流れていたが、他にすることがないからコーランを読み、涙ながらに他の囚人に教えを説いていったとか。急に毛沢東同志の刺青を入れたマイク・タイソンさんや、囚人ではないけど急に目覚めてしまったクイントン・“ランペイジ”・ジャクソンさん(http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/pride/column/200410/at00002944.html)のことを思い浮かべずにはいられない。そうした神的体験みたいなものは、急に降ってくるんだろうな、きっと。そんなジャクソンさんが、ヴァンダレイ・シウバ相手にどんな戦いを見せるのか楽しみだ。
 けれど、回心もギミックだったりするのだろうか。ザルカウィはどこから来て、どこへ行こうとしているのだろうか。香田証生は何をしにイラクへ旅立ったのか。そういえば、ドスタム将軍は今どこで何をしているのか。ドスタム専用デザート・ザクに磨きをかけているのか。世界情勢はわからないことだらけだ。