この日の競馬などのこと

 この日の中山第二競走にビコーズオブユーという馬が出走した。美浦本間忍厩舎所属で、鞍上に石崎隆之を擁し十一番人気で四着に健闘した。が、俺はそれよりもその馬のコメントをした「八月朔日助手」が気になって仕方なかった。八月が苗字、朔日が名前というわけではないだろう。検索して調べてみた。調べると「ほずみ」「ほうずみ」などと読む苗字だった。四文字で三音の苗字だった。朔日はその月の始まりの日のことだ。八月朔日は収穫した稲穂を積んで豊作を祝ったという。もちろん旧暦での話だ。「四月一日」で「わたぬき」とかの仲間だ。柑橘類のハッサクは漢字で「八朔」と書き、これも「八月朔日」が由来だ。俺は今後、「八月朔日」さんに出会っても大丈夫だ。「やつきさんですか?」と言わなくて済む。
 この日の中山のメーンはフェアリーSだった。俺は桜木町に買い物ついでに行ったのだが、このレースはパドックを見ようと思った。買わないで帰ってきて、携帯電話から買った。しかし俺は、パドックは見ずにダービーニュース紙の本紙・長谷川の本命マイネデセールにした。あまりに唐突だったので俺も驚いた。最初は同じく阪神JF組のキャントンガールにしようかと思っていたのだ。勝ったのはフェリシアだった。別路線の馬だった。俺はあまり悔しくなかった。
 この日の中京のメーンはCBC賞だった。俺は初志貫徹でアドマイヤマックスから買った。左回りなら捲りきれると思った。勝ったのはプレシャスカフェだった。俺はカフェの冠名はあまり好きでなく、マンハッタンのカフェならいいが、イーグルのカフェでは何が出てくるのかと思ってしまう。プレシャスカフェはこれで鉄砲五戦五勝の馬だ。来春も鉄砲で出てくるかもしれない。鉄砲駆け専門の名馬というのも面白いかもしれない。アドマイヤマックスメイショウボーラーは外枠も響いた。ゴールデンロドリゴには驚いた。タマモホットプレイは買わなかったら来なかった。もう大丈夫だ。
 この日の阪神のメーンは阪神牝馬Sだった。俺は佐藤哲三フォルクローレから買った。思ったより人気が無かった。枠の兼ね合いから枠連を買った。枠連を買うのは久々だった。中央にも枠単があればいいのにと思う。フォルクローレは後方から進んで見せ場も無かった。買ったのは上がり馬のヘヴンリーロマンスだった。スターリーヘヴンと紛らわしいと思った。松永幹夫が巧く乗った。二着にメイショウバトラーが来た。レコード後の連闘に目一杯追い切って武豊。ハナは切らなかったが勝負気配通りの走りだった。俺はこれを本命にすればよかったのに。ダイワエルシエーロは大外のハンデありながら三着に健闘した。大崩しなかった。やはり力がある。オースミハルカはもうお疲れだったのか。
 この日の重賞は全て外した。しかし俺はマイナスにならなかった。俺は五レースの障害戦を獲った。俺は障害レースが好きだ。俺は障害レースがちょっと得意だ。俺は障害で前に行く馬を買う。前に行く馬が見あたらなかったら、前に行く馬を買う。どちらもいなかったら初障害の馬を買う。この日は三つ目のケースだった。みんなそう思った。一番人気はアチーブフィートだった。この馬の平地力は抜けている。二番人気は障害経験ありの東京ダービーキングセイバーだった。俺は地方びいき南関びいきだけど、あまり良く見えなかった。三番人気も初障害のヒカルライアンだった。しかし、俺にはアチーブフィートもヒカルライアンも良く見えなかった。平地の競走だったら買いたくなるようなデキの良さだった。しかし、障害にしてはテンションが高すぎると思った。そこで俺は大外に入った初障害のポテンシャライズに目をつけた。体重は二十キロ増だが見た目は悪くない。障害馬を仕上げるには時間がかかる。厩舎にその余裕とノウハウが必要になる。松山厩舎なら大丈夫だと思った。と、能書きを垂れながらも僅差にアチーブとヒカリが二着三着したのだから大きな事は言えない。
 俺は障害レースが好きなので、一日障害ばかりの障害デーでもやらないかと思う。