古舘伊知郎プロジェクト

 さあ、選挙戦たけなわとなってまいりまして、昨夜も報道ステーションで各党ナンバー2クラスが一堂に会することとなっていたわけです。しかし、私がそこに見た構図は、選挙戦とはかけ離れた争い、すなわち「古舘伊知郎vs全政治家」という、一種異様なコロシアムだったのであります。古舘伊知郎の今までの戦績といいましたら、対石原慎太郎、対安倍晋三、曙もびっくりのマケボノぶりを晒していたのですから、昨日も大人しく仕切ればいいものの、そういう意志はまったくなし。勇猛果敢に猪突猛進で四面楚歌、テレビの前の私たちはその見苦しさに七転八倒という様相を呈することになったわけであります。「この党にはこれを言う」という台詞を決め込んでいたのか、話の筋をぶった切って急にがなり立てるのはもちろん、話の振り方の下手さ加減も救いがたい。これならパネル席に政治家並べて明石家さんまが棒で指して仕切るとか、馬、否、円楽が左隅にいて、座布団の上に政治家並べたりした方がずっとマシじゃないのかと思った次第であります。自由に仕切るにしては話の流れと筋を読めておらず、もうちょっと説明聞きたいのにぶった切る、悪い意味での快刀乱麻、何かいい言葉はあるのでしょうか。
 さらに夜はふけNEWS23。最後の方だけちらりと見たのですが、こちらはナンバー1クラスの集まりでした。綿貫民輔氏だけは報ステと同じく上方モニタから太陽のごとく輝いていたわけですが、司会は筑紫哲也イン・ザ・クールビズ。何かと悪い話の多い筑紫氏ですが、やはり司会は一日の長。ぼそぼそ言いながらやはり切り回しは安心して見てられる。古館氏の後だけにそう見えたのかもしれませんが、さっきの古館オン・ステージとは大違いなわけでありました。
 しかし、両番組を見てあらためて思ったのですが、先日も触れさせていただいた須田鷹雄氏の指摘する造反系2党のありよう(id:goldhead:20050830#p1)。確かに一党分の持ち時間より二党分の持ち時間、それも自民や民主と変わらぬ長さなのですから、二倍にした方がお得というのも肯けます。こうなったら、自民も民主も第一から第五十まで割って、古館を取り囲む三国無双状態の討論会にしてしまった方がいいんじゃないでしょうか。
 ああ、それにしても古館よ。私は古舘伊知郎が嫌いじゃない、それどこかアナウンサーとしては好きなのです。だからこそ、こう苦言を呈したい。そして、出演した政治家の誰かが彼に「そんなに言いたいことあるんなら、お前立候補しろよ」と言ってくれたならば、私はその政治家の党に一票投じたでしょうに。