安米買いの銭失い

 俺は白米好きだが米の銘柄にはこだわらない。こだわらないどころか、少し固めなら何の文句も言わずに食う。そして貧乏だから安い米を買った。パールライスの無洗米で五キロが千四百幾らだった。な、安いでしょう。それを何度炊飯したか忘れたが、ろくに炊きあがらない。俺ですら炊飯器は楽な機械で、少しの水加減ミスくらいならなんとかする。いままで安かったりもらいものだったり、無洗米だったり普通のだったりしていたが、こんなことはない。不味いとか味のなら我慢できるが、炊きあがりが酷い。回りがねちょねちょぎみで、芯は芯で残ってる。銭失いだけならいいが、米は捨てられないから困ってしまって、酒で脳をごまかして胃に流し込む。米と炊飯器の相性が悪いのか。俺は固めというのはあきらめて、水の量も多め、つけ時間も多めなのだ。炊飯器壊れたとしたら確かめようがない。俺はまずくてまずくてしかたない米を、それでも酒で流し込んで、この米に関わったすべての人間が呪われればいいと思う。俺も呪われればいいと思う。やはり米は主食に向かない。考えてみれば、炊きかげんにミスしたら食えなくなる。これは危険きわまりない代物であって、俺はお好み焼きが俺の主食だとあらためて確信した。