君ら暖冬世代のサラブレッド

http://www.netkeiba.com/news/?pid=column_view&no=6565

 まず、馬にとって積雪ゼロは果たして良いことか、というと、これはむしろマイナス材料だ。

 今冬が暖冬であることは紛れもない事実だ。あまり地球温暖化などと絡めて言われると、「アル・ゴアの映画の宣伝じゃあないのか」とも思うが、ともかくこの冬は暖かい。
 競走馬の世代の強さ、という一つの物差しがある。●●年生まれの世代は強く、××年生まれの世代は弱い、という風に。夏競馬など始まると、世代間レベルの見極めなどということが、もっともらしく語られる。
 だが、ちょっと待ってほしい。世代の強さというものに合理的な理由はあるのだろうか。競馬などというものは、数限りない複雑な要素が絡みに絡んで、一つのレースが、一頭のサラブレッドが成立する世界。同い年というだけで、どれだけの共通項があるというのか。
 とはいえ、競馬をやっていてある程度の世代レベルを感じない人はいないだろう。では、世代差を生む原因を考えてみるのも、あながち荒唐無稽ではないかもしれない。
 たとえば、気象はどうだろう。こんな言い方には抵抗があるが、馬も畜産物。しかも、大量生産のウシやブロイラーとは違って、外で過ごす時間も長い。その暑さ寒さが、内国産幼駒の成長に影響を及ぼす可能性はあるんじゃあないか。
 というわけで、今冬の話。暖冬だとどうなのだろう。生産者の一つの見解として興味深いのが、上にリンクした田中哲実氏のコラム。なるほど、クッションとしての雪など、現場を知らないファンには想像がつかないこと。というわけで、これは暖冬のマイナス面。
 では、過去の統計的にどうなのだろう。暖冬、厳冬、あるいは日照時間などは気象庁か何かのデータである程度はっきりするはず。競走馬の世代レベルも、世代で獲得した重賞数や賞金総額からはじき出せるだろう。では、ちょっと調べてみるか。
 ……ってそんな面倒くさいことはしないのだけれど。ただ、面倒くさいだけでなく、単にこの二つを比較して、何か比例っぽいところがあったとして、それがどれだけ正しいのかは疑問なのだ。たとえば、サンデーサイレンスのような大種牡馬がいる/いないでは、天気以上に大きな差だ。また、生産から調教、レース体系の変化などなど、汲むべき要素が多すぎる。それをより正しく立証する術は知らない。競馬予想は、そういう諸々の中からこれというものをぐいと掴み出す直観の世界なのだとも思うが、こんなデータは馬券にも直結しない。