土曜ドラマ『ハゲタカ』

goldhead2007-02-19

http://www.nhk.or.jp/hagetaka/
 もしも私が「人類の悲惨について書かれた書物はなんですか?」と問われれば「帝国データバンクの日刊帝国ニュース」と答えよう。私は毎朝これに目を通すのが日課になっている。そこには、次のような人類の悲惨が何件も掲載されている。毎朝、何件も。

■西乃屋 明治○年創業、温泉経営
企業コード:xxxxxxxx 負債約○億円
事業停止、自己破産申請へ 売り上げ減少、借り入れ負担重く
「東京」西乃屋(資本金○○○○万円、東京都〜、代表宇崎竜童、従業員○名)は、×月×日付で東京地裁へ自己破産を申請した。負債額は約○億円。
 当社は、○年○月創業、○年に法人改組。全国的に知られる老舖旅館の名門として、○年○月期には年収高○億円を計上していた。
 しかし、バブル期に行ったゴルフ場経営やビル経営への事業多角化の負担が重く、本業の売上げもジリ貧となり、×年×月期の年収高は約×億円までに落ち込み、今回の事態となった。

 ドラマ「ハゲタカ」の、外資系や銀行の中の描写がどうだったか私は知らない。しかし、私は知る、あの旅館の悲惨を身をもって知っている。お前、見ていたんじゃないのか、俺を見ていたのか、俺の記憶を覗いたのか、そんな思いすらした。俺は旅館の三代目ではないけれど、思い当たるところがある。不幸はいろいろだとアンナ・カレーニナが言ったのかどうか知らないが、不幸も同じ形がある。その悲惨を知っている人間は日刊帝国ニュースに涙する。GOGO夕張も涙する。
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 というわけで、このドラマの出来のよさはすばらしい。「華麗なるなんとか」とか見ている場合ではない。宇崎の汚れっぷりは素晴らしいし、松田龍平もかちっときてていい。一方の主役の大森南朋は素晴らしい。どこかしらの弱さの具合がいい。誰だ? と思って検索したら、麿赤兒の子だというので驚く。「タイガー&ドラゴン」で売れっ子デザイナー役だったらしく、その回の話はなんとなく覚えているが、中身の人まで覚えていなかった。栗山千明が髪をほどいたシーンでは、そのまま鉄球アクションがはじまるのかと思った。最終回は、鉄球を柴田恭兵が撃ち抜く方向で(あぶない刑事で彼が使う銃を調べようとウィキペディアを見たhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%B6%E3%81%AA%E3%81%84%E5%88%91%E4%BA%8Bら、劇中に使用された車輌ばかりがやけに充実していて役に立たなかった)。まあ、とにかく、これは続きも見ようっと。