あれは巖谷國士だったのだ

 今朝は六時半に帰宅して、十時過ぎに起きた。起きてテレビをつけてぼんやりチャンネルを回す。一瞬、雰囲気のいい部屋が映る。手を止める。NHK。場面移る。
巖谷國士澁澤龍彦を語る
 ああ、ああ、お前、お前、巖谷國士だったの? あのさ、横須賀美術館で取り巻きっぽい女性と、NHKのカメラとどやどや引き連れて、「シブサワはさ……」って一席打ってた、あのおっさん巖谷國士だったわけ? うわ、まじか、そうだったか。ええー、そうか、巖谷國士だったってことなのね、あれは。「あのセンセー誰なのかちょっとは気になる」とか言ってないで、話聞いときゃよかったんじゃないの。
 だって、やっぱりさ、少年シブサワだった俺、たぶん定型通りというかんというか、やっぱりこう、澁澤周辺人物としてさ、巖谷國士種村季弘と、古本屋とかで名前見つけると手ぇ伸ばしちゃうじゃん。巖谷センセーだってさ、澁澤と共著になった『裸婦の中の裸婦』とかさ、文庫本だけどマックス・エルンストの『百頭女』とかそのあたりとかさ、ああ、ルネ・ドーマルの『類推の山』もそうだったか。それと、『日本の不思議な宿』だな。

 ……ってさ、やっぱり俺も年寄りってのか、まったく同じようなこと書いてるじゃん。つーか、リンク先のなんだよこれ、後藤明生の直筆サイン? あれ、これ、なんか古本の中から出てきたんだっけ? 覚えてねえよ、それ、なんだよ。うわ、もう焼きが回ってるな。