アーサー・C・クラーク卿の死

名作「2001年宇宙の旅」などで知られる英国人SF作家、アーサー・C・クラーク氏が19日、移住先のスリランカで死去した。90歳だった。

http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200803190065.html

 僕がアーサー・C・クラークについて語れることは決して多くない。読んだのは『幼年期の終り』、そして『宇宙のランデヴー』とそのシリーズのみだ。
 しかし、『幼年期の終り』のくれた壮大なイメージと人間社会に対する鋭い洞察、『宇宙のランデヴー』の巨大なるハード、その衝撃は大きかった。カート・ヴォネガット、そしてP.K.ディックからSFの迷い道に入った僕にとって、「これがハードSFか!」という、本当に強い、強いインパクトがあった。そうだ、どのみち語れることなんて何もないのだ。だったら『幼年期の終り』を読んだ、それで十分じゃないか。
 ……日記を振り返ってみても、それらの感想はなかった。これを書き始める前に読んだのだった。『幼年期の終り』については何を言おう。とにかく読んでくれと思う。読んで、「ああ、ラッシャーヴェラクのエロ漫画ひさしく読んでいないな」などと思ってくれればいい。いや、違う、まあ、いいか。
 あと、『宇宙のランデヴー』。この一冊目はかなりのハードさだ。『リングワールド』より固い。その固さにまずメロメロになればいい。そして、続きがあるのだ。もちろん、一冊で満腹だ。満腹だけど、そのご馳走の続きがあるとなれば、読みたくなるのも当然。そのおかわり実に三作×上下二巻。ものすごいボリューム。2以降は共著になって、やけにメロドラマが入ってきて、けっこうソフトになる。ソフトになって、やっぱり長いなって思う。思うけれど、最後の最後、4の下巻の最後にくると、長い長い長い旅路の終わりという感じで、ホロリとくる。ラストシーンは絶品だ。だから、『宇宙のランデヴー』は初めと終わりだと思う。続編には賛否の否が多いのかもしれないが、それでも俺は捨てがたい。そう思う。
 ともかく、クラーク卿の幼年期は終わりを告げた(←なんとなく調子で言ってるだけで、意味はわかりません)。彼の宇宙スケールにおいて、冥福を祈ること、手を合わせることが適切なのかどうかわからない。しかし、ありがとう、そう言う。そしてまだ見ぬ数々の作品のことを考える。
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