2008年オークス回顧

 雨降ってそれからだと、日曜日朝にも馬券はっきり定まらず、ずるずる午後になって、いよいよみんなのケイバなど始まって決断を迫られる。
 そこに来て再浮上してきたのがソーマジックで、いかにも大丈夫なのではないだろうかと思い始める。単勝オッズに動かされたというのもある。馬体重なども見る。ブラックエンブレム-14kg。これはよい兆候と取る。うすらぼんやりと、前目、前残りが怖いと考えていた。その辺で、買いたい馬を展開順に記すと以下のようになった。
後ろ:リトルアマポーラ→先団:レッドアゲートソーマジック→逃げ:エアパスカルブラックエンブレム
 いろいろな要素を考えるに、リトルアマポーラは強力、が、伸びきれずのシーンが思い浮かぶ。馬場が味方するとはいえ、ソーマジックにも切れ負けがある。五頭、オッズを見ればパスカル、エンブレム絡みで高配当も。ここは三連複ボックス。強弱つけてソーマジックリトルアマポーラブラックエンブレム本線。ソーマジック単勝、さらにソーマジックから他四頭中心に馬連。盤石のように見えた。

 が、どんなに脆い石だったろうか。ソーマジックは三角〜四角の上からのカメラで手が動いているのが見えた。理想としては、直線入口でもうちょっと前にいたかったのではないだろうか。それでもまだ伸びる気配があったので、「後藤!」と応援してみたものの、カメラが外を映してまた内に戻ると、なんかよれているのかバタバタやっている。「ほ、ほかの四頭!」と思っても、ブラックエンブレムが抵抗してくれたくらいで、音沙汰無し。俺絶望のままゴール。
 ……というのが観戦時の感想であって、後からパトロールフィルムなど見るに、後藤がバタバタやっていたのは不利を受けてからの立て直し。もっとも、不利がなくとも掲示板があったかどうかというところ。
 ソーマジック、少し気になったのはパドック。「競馬最強の法則」の記事の中に、「まだ歩様がぎこちない。パドックでの足さばきに注意」というようなことが書いてあって、さて見てみれば、確かに後肢がひょこっ、ひょこっとなっていていかにもぎこちない。もっとも、桜花賞VTRでも同じようで、それで結果が出ているならとも思ったが。ただ、これは良化の余地と思おうか。しかし、ひょっとしてマイル、中山マイルあたりが適正距離なのやもしらん。
 勝ったのはトールポピー。いちおうそれなり競馬を見てきた競馬ファンとして、池添謙一のはしゃぎっぷりにはゾクゾクきた。二着馬との差のことじゃねえよ、審議の方だ。お前対象じゃねえのって。
 で、結果そうなって微妙な気持ち。もっとも、エフティマイアなんて持っていないので馬券的には関係ないところだけれども。それで、到達順位通りも、池添神妙、敗者の弁より重々しいインタビュー。柏木集保など、ワイド中継の方で「多頭数のレースだから温情があるべきなのか、大レースだからより厳正にやるべきか意見は分かれるだろう」と前置きしながらも、「普段の競走だったら降着」と断言していた。俺もパトロールフィルム見て、すげえシャコーだとは思ったが、ただ、普段からパトロールフィルムよく見ていないので基準についてはどうこう言えない。馬券に絡んでないから言うけれど、降着でもよかったような気がしないでもない。
 さて、しかしそれでもトールポピー。ラフではあったが、力を見せた。これは意外だった。なにせ、ジョイフルスマイルを消すよりも能動的、意思的、積極的に「トールポピーいらね」と決めつけて入ったからだ。中間の軽すぎる調教、兄フサイチホウオーのスランプ、装鞍所映像の発汗っぷり、意外に2,400m級を苦手とするジャングルポケット産駒……。いやはや。世の中的にはシャコー問題なのかもしれないが、俺にとってはこれだけ走られたことが衝撃。
 そして、エフティマイアレジネッタ。これにも脱帽。結局俺も桜花賞組中心の考えだったが、だったら勝ち馬、二着馬を評価しなければいけない。「もう一回やったら結果が変わるレース」なんてのはよく言われるが、その一回で勝つだけの実力を見せたわけだし、ちゃんとスタートして格好のいい競馬をするだけの才もあったわけだ。リトルアマポーラソーマジックには「釣られた」と肝に銘じよう。しかし、俺にはやっぱり買えない。まあ、買えたら今ごろ馬券で家が建ってるさ。ヤマトマリオンもね。