『闇金ウシジマくん』10〜11巻/真鍋昌平

闇金ウシジマくん (10) (ビッグコミックス)
闇金ウシジマくん (11) (ビッグコミックス)

 今、唯一買いそろえている漫画が『闇金ウシジマくん』。ひりひり、ざらざらでこれだけ怖い思いをさせてくれる漫画も珍しい。……のだけれど、だんだんテンションが下がってきているというのは否めない。だんだん最初のころの、特異な漫画としての怖さが減りつつある。個人的には自分史と重ね合わせて恐ろしい「フリーターくん」編で大盛り上がりだったけれど、じゃあその次はどうだ、というところ。「ギャル汚くん」編と「フーゾクくん」編のように、ウシジマ自体も安穏としておれず、欲と欲が絡まり合うジェイムズ・エルロイ的展開に向かうのか、それとも……。
 ……それとも、の方だった。「フリーターくん」編のように、「奴隸くん」側の生活を丹念に描いている方へ。正直言って、普通のサラリーマンとは言い難い我が身のこととは重ね合わせづらく、前編のような盛り上がりはない。漫画としても、あくが抜けて、えらくすっきりしてしまったような印象。もちろん、オナホールから空気が抜ける音(?)とかの描写も見事だし、なんかもう読後感もやもやさせてしょうがない、あの、人間の、汚い日常っぷり、閉塞感に押し潰されそうな、そんな感じ、そりゃあ読ませるさ、読ませる。でも、もうちょっと初期のようなズレ方、そして単に狂言回しでないウシジマくんの活躍を見たい、とも思う。とりあえず、この「サラリーマンくん」編が終わるまでは絶対に読む。つーか、その先も読むんだろう、この我が身の行き場のない人生と付き合わねばいけないかのごとくに。