『パーフェクトブルー』/監督:今敏

パーフェクトブルー 【通常版】 [DVD]
 『千年女優』、『パプリカ』の今敏監督作品。これが監督第一作というが……、面白いな。はっきり言って、『千年』と『パプリカ』よりも好きだった。全面的にむちゃくちゃな世界というよりも、リアルな日常にするりと向こう側が出てくる感じ、これがいいのかもしれない。日常といえば、主人公のアイドルの部屋が際だってすごい。アイドルの自室なんて深夜の浜ちゃんの番組でしか見たことがないが、まあともかく生活感とアイドルの部屋っぽさのうまいぐあいの合致だ。そして、肝心のサイコミステリーなんだが……。
 ……なんだけれども、なんとも残念なことに、となる。あのキャラが出てきた瞬間、「これ犯人だ!」ってわかってしまった。なぜか。それは、見たことがあるからだ。全編を? 否。深夜のテレビか何かで(R15なのにテレビ放送したのかという疑問は残る。でも、ほかにも印象的なシーン……言うまでもなくストリップ劇場のシーンなどを忘れるはずはないのだが……)、最後の最後の最終版だけ見た覚えがあったからだ。あの、えぐい犯人を。
 でもまあ、そこまで犯人捜し的ミステリーにこだわる必要もないか。二重三重の入れ子構造、合わせ鏡繰り返す悪夢のようなあたりはなかなか。もちろん、江口寿史キャラがあんなんやこんなんというのは、それだけでもいいような。それで、やっぱりその、ストリップ場のレイプシーンを演じる主人公のシーン(?)なんかの、一歩間違うと危ういあたりの表情とか、そのへんとかな。それで、バーチャル主人公のステップには、「白虎野の娘」をかぶせたくなったりとか。ラストはすっきりさせすぎたような気もするが、俺はそのくらい着地してくれた方が、実は安心できて好き。
 と、いうわけで、次は『東京ゴッドファーザーズ』見てみようっと。
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