海沿い、渋滞、134

 今、ラジオでピストン西澤が「どうせ渋滞するなら海沿い」という主旨のことを言った。山の中で渋滞に巻き込まれるなら、まだ海沿いがマシだというのだ。余計なことを、134が混んでしまう。
 ……と、思う理由はなかった。俺はもう鎌倉市民ではないし、自由になる車もないのだった。ただ、海沿いの渋滞についての記憶は色濃い。家族旅行で西から帰ってくる、その帰り道。いつでも海沿いは渋滞だった。今でも地理に弱い俺はよくわからないが、母が「どこで相模川を越えるかだ」というようなことをよく言っていた。カーナビなどない時代だったが、橋が混むのは今でも同じだろう。もう暗くなってくる、江ノ島が見えてくる。松並木を照らすオレンジがかったライト。そうだ、そのあたり、道路の上でアイスクリームを売ってるおっさんがいなかったろうか。今でもいるのだろうか。モノレールの目白山下駅から湘南江の島駅にあたる部分の道路、あそこが有料道路だったのを覚えているだろうか。