石井慧は新世紀柔道の彗星であるか?

石井 意地の金「勝負に撤しちゃいました」

http://www.sponichi.co.jp/olympic/news/2008/08/16/01.html

 見よ、サンケイスポーツの見出しを。「勝負にしちゃいました」とある。これはどういうメッセージか。それは明白である。サンケイは「柔道はあくまで一本を取りに行く武道である。逃げてポイント勝ちするなどということは、武道から逸れて、勝ち負けにこだわる愚かな世界に逃げているだけである」と言いたいのだ。選考会でも一部から批難された、勝ちにこだわる柔道。まるで、外国選手のようなJUDO。それに対する、痛烈な皮肉である。
 ……って、本文中では「最後10秒で逆転されたら何にもならない。勝負に徹しちゃいました。人間味があるでしょ」となっている。こんな風に他人様の誤字にいちいち突っ込むのも品がないか(ちなみに上の見出しは16日14時30分現在確認できたもの)。でもまあ、そういう風に曲解できてしまうあたりが、石井の持ち味という気もする。
 そういうわけで、世界の柔道に日本柔道が伍していくにはどうすべきか? という問いに対する答えの一つが石井かもしれない。けど、それは日本柔道が世界柔道に対して優位であるという意味ではないかもしれない。まあ、どっちがいいのかわからんが。ただ、次の台詞は心強い。

畳を降りると「尊敬している」プロ格闘家・小川直也の“ハッスルポーズ”も披露した。どれもこれもが素顔。この日、世界一強い男になった21歳は「若いうちに五輪で勝てて良かった。ロンドンでは皆さんが見て楽しい柔道ができるようにしたい」と日本柔道の新エースを宣言した。

 小川直也は旧プロレスを葬った立役者の一人である(対橋本真也)が、ファンを喜ばせるプロ意識という意味では、どんな総合格闘家よりも強い。その小川を尊敬する石井がそういうのであれば、一度金に輝いた実力と余裕にエンタテインメント性が加味され、これはすごいことになるかもしれない。ロンドン橋を諸手刈りで落とせ石井、君こそニューヒーローだ!(いい加減な終わらせ方)