出て来いミニッツ、ミニッツって誰だ?

山の家で、はじめの中は
「出て来い、ミニッツ、マッカーサー
などという戦時中の軍歌を、夜になると歌ったりした。

 丹沢・山暮らし (自然誌選書)という本の前文に、上のような一文を見つけた。「出て来い、ミニッツ、マッカーサー」。誤植もいいところだ。「ミニッツ」ってなんだ、「ニミッツ」だ。
wikipedia:チェスター・ニミッツ
 ……と、思ったが、この前文を寄せているのは城山三郎城山三郎といえば……有名な人だ。戦中派だ。果たして間違えるだろうか。だいたい、この前文についても、一度『旅』という雑誌に掲載され、十五年後さらにこの本に再録されているという。二度も校正をすり抜けるものだろうか。ひょっとしたら、「ミニッツ、マッカーサー」が歌としては正しいのか? 「ニミッツ」より「ミニッツ」がカタカナとして自然な感じがするのは否めないが……、というか、俺も昔、ミニッツ? って思ってたことあったと思うし。
(↓注:MIDI

決戦かがやく 亜細亜の曙 命惜しまぬ 若櫻 いま咲き競う フィリッピン いざ来いニミッツ マッカーサー 出て来りゃ地獄へ 逆落とし

http://www.biwa.ne.jp/~kebuta/MIDI/MIDI-htm/HitouKessen_no_Uta.htm

 で、この軍歌が何かといえば「比島決戦の歌」(作詞 西条八十・作曲 古関裕而)やっぱりニミッツマッカーサー。でも、「いざ来い」なのね。しかしこの部分、陸軍が勝手に書いて、作者的には黒歴史といったところのようだ。
wikipedia:軍歌
 じゃあ、ミニッツはどこから来たのだろうか。やっぱり単なる誤植? うーんわからん。間違いやすいカタカナの並び、というのは確かなような気がする。検索すると一緒にひっかかる「ルーズベルトのベルトが切れて、チャーチル散る散る花が散る」(たくさんバージョンあり)のように、戯れ歌的に「出て来いニミッツマッカーサー」みたいな、そんな中で「ミニッツ」が流行ったか? とか。「来るなら来てみろ赤とんぼ」もセットかな。これは「荒鷲の歌」か。
 というか、たとえば軍歌と言っても、きちんと歌詞と楽譜と録音が残されているもの以外に、市井で歌われるものにさまざまなバージョンがあったのだろう。そういえば、いつか古本屋で見つけた古い軍歌の替え歌集(ほとんど猥歌)なんてのも持ってたっけ俺は。まあ、そういうわけで、とくになんという結論もなしに終わろう。
[rakuten:ongakucenter:665954:title]http://www.ongakucenter.co.jp/SHOP/CDK001.html
 と、ちなみにこのCDに「ルーズベルトの〜」歌があり、シャンラン節とある。シャンラン節はYoutubeにアップされていた。いいメロディだ。