『秒速5センチメートル』/監督:新海誠

秒速5センチメートル 通常版 [DVD]
 ファーザーにズボン履かせようとすると、ギャワーってなるじゃん。それでだいたい俺、たとえばこの『秒速5センチメートル』の第1章「桜花抄」なんか観てると、まさに一人でそういう感じになって、ばたばた暴れ出して、口からきれいな液を出したりしそうになるから注意が必要なわけ。それは決して嫌悪感じゃあなくて、ともかく苦手なんだよなあ、ラブストーリー、恋の話は、もう、うわー、観てらんねーって、むずむず、そわそわ、ざわざわしてきてしまって、勘弁してくれってなるわけ。はっきり言って弱いのだ、弱い、心の弱いところを突いてくる。だからもう、たとえばこの『桜花抄』がいいとか悪いとかそういう客観的な評価なんかできなくて、「ラブストーリーに犯された」みてえな、なんとも評価できねえよってところであって、まあはっきり言って感動した、ではなく動揺した、というのが正しいかもしれね。もう、なんか、うわー、雪降って、これ、会えないんだろ? 会えないんだよな? うわー、電車−。 え、会っちゃうの? 夜、どうするの? ぎゃー、き、きゃーと、もう、しょうもない。
 でも、ちょっと第2章の「コスモナウト」で落ちついた。女の子側から描いているせいだろうか、島の風景やロケットのシーンが美しすぎるせいだろうか、慣れたせいだろかわからない。でも、最後の「秒速5センチメートル」で、山崎まさよしの「One more time, One more chance」が流れてきたところでまたやられる。この歌使われてたなんてしらねえよ、なんだよ、俺、これに弱いんだよ、「桜木町で」だもんよ、なんてタイミングでタイトル出すんだよ、うわ、これ、超ロングレンジ寝取られ? 会えるの、会えないの? 宇宙目指すわけでもねえの、うわー、ぎゃーぎゃーぎゃわー。
 ……というわけで、やっぱり俺はこういうのに弱い、ということを再発見して、心にぐさりと深い傷を負ったのでした。それとも、負っていた傷に塩を塗られたのでしょうか。恋愛物は苦手。もっとも、この動揺を楽しめるものとすれば、世の中のラブソングやラブストーリーがどれだけ魅力的なものに化けるかわからんが、いや、俺には無理。参った、降参。だから俺、ギャルゲーとかもようできんところがある。泣きゲーとかやったら、泣くかもしれない。
 ところで一つ気になった点。こんなに背景、風景、景色、アニメでしかできないというくらいの美しさだというのに、キャラの顔は何なの? みてえな。いかにもアニメアニメしていて。そんな違和感が最後まであって、なおかつ今ではどんな顔だったかまったく思い出せない。これでいいのだろうか。……はっ、まさか、キャラの個性を打ち消して、観る者にさらに自らのこととして感情を移入させるための孔明の罠? じゃよー。
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