ブラウン監督続投に望むこと

 来年こそ−。広島は08年の最終戦で横浜に惜敗。69勝70敗5分けの4位でシーズンを終えた。7年ぶりの勝率5割も果たせなかった。球団はこの日までにマーティー・ブラウン監督(45)の来季続投を決断。新球場がオープンする来季も、同監督が進めてきた若手中心の機動力野球を継続する。

http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20081007-416628.html

 クライマックスシリーズ進出、勝率五割突破ならず。しかし、ブラウン監督の続投が決定した。自分としてこれは、喜ばしいニュースである。8:2か7:3くらいで。いくら次期監督と目されている野村謙二郎赤ヘル魂の体現者であり、よき野球人であるとしても、監督としての手腕は未知数。新球場(最初‘新窮状’と変換した意地悪なATOK)の船出にふさわしい人物であるとはいえるが、せっかくここまで変わってきたブラウン・カープがどう転ぶかわからないというのも不安だ。むしろ「新球場では足と守備が重要になる。私は先のことを考えてチームを変えた。来年もこの方向を続けていく」と、チームを作ってきたブラウンに最後のチャンスを与えるべきではないのか、と。
 では、8:2の2、7:3の3は何か。それは今季たった一回の観戦で身に染みたが、やっぱりブラウンの采配というのはなんかよくわからんというところがある。いや、それは過去にも何度も目の当たりにしてきた(……と過去の日記探そうとしたが、カープとブラウンへの言及が多くて面倒なのでやめた)。そのずれというものが、やはり一部でブラウン批判、続投反対という意見を引き起こしている。ネットばかりでない、スタジアムの野次将軍みたいな爺さんも、「ブラウンは首! 皆さん、来期は野村謙二郎!」と呼びかけて、拍手喝采されていた。その心情もよくわかる。それが2であり3だ。
 そうだ、ブラウンにはチームを長期的に作る力や選手やファンを引っ張る魅力がある。しかし、戦術においてどうも劣るのではないか、という疑問がある。アメリカ流、日本流というのではなしに。そう、マーティ・ブラウン劉備のような存在だ。だったら必要なのは何か。関羽張飛、すなわちルイスや栗原がいるとして、あと欠けているのは諸葛亮星野仙一における島野育夫のような名参謀。ブラウンに名参謀が足されれば、1+1は2ではすまない。1+1で200だ、10倍だぞ10倍、ということになる。探しに行け松田元オーナー、三顧の礼だ。何なら火をつけてあぶり出しても構わん。……って、誰を? という問いに俺は答えられないのだけれども。
 ああ、あと、俺にはわからんが、ひょっとしたらブラウンはマネー・ボール的な采配をしているのかもしれない。ある種のセイバーメトリクスを駆使しているのかもしれない、という可能性(バント、ヒットエンドランとかは本に述べられていたものとは違うので、「ある種の」)。もしそうであれば、何となくファンの野球観、野球感、野球勘とずれるのは納得だ。ただ、もしそうであれば、その野球に必要な的確な補強、編成が必要になるのは言うまでもない。そのあたり、今年の戦力で四着というのがある意味上限ともいえるからだ。どうだろうか。
 まあ、今年のカープ、戦術面でマネーボールかどうかはわからないけれど、一つだけ『マネーボール』に書いてあったことは立証できたように思える。それは、ちょっと今手元にないから正確な引用はできないけれど、「スタジアムの客の入りと一番相関関係が強いのは、チームの勝利である」というようなこと。今年のカープ広島市民球場ラストという要素などもあったが、やはり最後までCS進出をかけて戦えたこと、これにつきるのではないか。ともかく勝利を。確かに今季も五割、三位はならなかった。しかし、もう負け犬根性は払拭された。ありがとうブラウン、そして来年こそは!