WBC世界フェザー級タイトルマッチ 粟生隆寛 vs オスカー・ラリオス

1R 粟生、力みはないらしい。出入り、ガードの間隙をぬってワンツーヒット。対するチャンピオン、四角くて固そうな印象。中盤前に出るものの、残り40秒から、「ナーイスアッパー練習通り!」とセコンドから声が飛んで粟生リード。10-9

2R いきなりチャンピオンが無理矢理出てくる。クリンチから後頭部なども。少し間を置いてもみ合い。一発に気をつけてほしい。若いのをおどそうというベテランの圧力。が、粟生も負けていない。負けていないけど勝っていない。ここはラリオスペースか?9-10

3R 五分五分できて3R。ここが分かれ目になったりするのかしないのか。前に出るラリオス、今度は距離を取って出入りの粟生。実況によればセコンドの指示通り。が、残り1:45くらいから粟生がロープを背負う展開。粟生、押し返すもチャンピオンの強烈なボディ。が、最後20秒くらいで粟生のボディ、これは効いたかあ!? うーん、前に出たか。ここは若干ラリオス。9-10

4R さっきのパンチが効いているなら、今がチャンスの粟生。序盤からクリンチが続く。ラリオスにはやはりダメージが? と、ここで右の打ち合いからラリオスが沈む! ダウン、ビッグチャンス! が、大振りでK.O.を狙う粟生、これがなかなか当たらない。解説者曰く「こういうときこそスピード、コンビネーション、大振りするとごまかされますよ」とのこと。なるほど、ラリオスの反撃もある。危なくも見える。逆転K.O.劇というのはこういうところから生まれるのか?10-8

38-37

5R 開始時に偶然のバッティングによる減点宣告。これは5Rに影響するのか(追記:4Rから減らすべきだったみたい)? チャンピオンは流血。ここは出てくる。が、粟生もいい連打。ラリオス陣営は止めたがっていると実況。このままの点差だとそうなのか? チャンピオン果敢な攻撃も、粟生には見えている。ラスト、またカウンター、粟生に体を預けるラリオス。ほとんどダウン、が、なんとか耐える。うーん、どうだ。9-9

6R ラリオス、流血が止まる。百戦錬磨は血も操るか? ここはラリオスも無理に出てこない。大きな見せ場はなかったが、終始粟生ペース。10-9

7R 実況もセコンドも左ボディ、左ボディと。が、なかなか出せない。ここは距離を取っての戦い。まだまだラリオスのパンチも怖そう。が、粟生が二発顔面を捉える。クリーンヒット。しかし、崩すまではいかない。ここも粟生か。でも、王者が回復しつつ、虎視眈々と狙っているようにも。10-9

8R アウトボクシングでこつこつ粟生の顔面をとらえるチャンピオン。対する粟生は手数で負け、見せ場も作れない。ここはラリオス。9-10

76-74 ……俺は若干粟生。公式は75-75のイーブンを挟んで対称。

9R ラリオス傷が開く。が、ここもラリオスのペース。急に粟生がペースダウン。ボディが強烈に響いてきたのか? 粟生ピンチ。9-10

10R 粟生、一瞬後を向いて帰ってしまいそうな素振り。これはダメージがあるのか。が、ここを耐えてほしい。まだあるはず。チャンピオンはアウトボクシングから再びインファイトへ。残り30秒、粟生のワンツー、連打。しかし攻め続かない。「泥臭くてもいいから打て」とセコンドから声! うーん、双方決め手はなかったけれど、エナジー感のある王者か?9-10

11R 粟生もまだ動ける。チャンピオンはアウトボクシングで逃げ切り体勢。が、残り1分、粟生のパンチが効いた。そのまま優勢でゴング。このラウンドは粟生だろう。10-9

12R 粟生にはK.O.しかないか? ブッ倒せ! が、チャンピオンも前に出てくる。このあたりが名王者。しかししかし、粟生もぶち当てていく。チャンピオンやや退く、もみ合う。もみ合う。お互いに苦しい。クリンチ。うーん、このラウンド。ラリオスからクリンチにいったような、そんな消極性も感じたが。ここは粟生で。10-9

 114-112……あれ、粟生が勝っちゃった? ラリオスだと思うんだけど。自分の印象と自分の採点が違ってやがんの。うーむ。最後の方、粟生にサービスしすぎたかな。でも、ジャッジの一人とは一致したか。最終をラリオスにつけてドロー防衛、そのあたりかな。
 まあともかく、そんなわけで、印象としては粟生のサクセスストーリーを、王者の物語が飲み込んだように見えた。ダメージを耐えしのぎ、自分のペースにチェンジする、実に老獪な支配。しっかし、自分の採点でも粟生が勝っていたように、粟生は勝っていてもおかしくなかった。少なくとも、世界王者のレベルにあるだろう。立派だった。
(翌日追記)新聞の公式採点と見比べてみると、完全にジャッジと裏食ったラウンドはなし。あんまり間違っていなかったみたい。やっぱり自分でも迷うところは割れるな。うん。