宝くじを買うんです。

 夢もあります。欲もあります。かなうはずなんて、ないと思います。夢に破れて。あてにはずれて、泣いてばかりじゃ、いやになります。……と、中島みゆきは歌うので、俺は昼休み、年末ジャンボを買いに行くという人がいるので、のこのこついていって買うことにした。
 何枚買う? 連勝式に決まっている。連番……三枚。だと、宝くじ売りが嫌な顔をする。じゃあ、十枚! 十枚……三千円。高い。それに、連番十枚だと、十枚もあるのに、外れたとき一撃でわかる。つまらん。でも、バラ十枚というのは、バラバラの馬連を買い散らかすようで気持ち悪い。ああ、どうしよう、自分の順番が迫ってきた……。
「いらっしゃいませ」とサンタ帽子を被った宝くじ売りのおばちゃん。
「……、あー、バラ5、連番5」と俺。
 見ろ、このしょうもなさ。このしょうもなさが俺の博打だ。馬券にはそいつの人生があらわれるが、宝くじでもしかりだ。俺の前に並んでいた若いサラリーマンは、連番40枚買っていったぞ。ちくしょう、ちくしょう、人生のばかやろう。これじゃ、末等の払い戻しすら二分の一の確率じゃねえか。
 ……と、思いきや、連番の末尾が0~4、バラの末尾が5〜9という配慮がなされていた。しかしこれは、300円のガミが確定したと同時に、バラと連番の二重取り、三重取りで600円以上、という夢も絶たれたということだ。でも、300円還ってきてホッとしてるんだろ、俺。ああ、くそ、よく見抜いているじゃねえか、ババア!