『プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達』2008を見た

 この企画は好きだ。悪趣味だと言われてもかまわん。しかし、これはプロ野球だと言いたい。ふだんは光しか見えない。光しか見えていないような気がしている。しかし、プロ野球の試合の一球、一打席がその選手の運命を変える。そういう意味では、トライアウトの一球、一打席と同じものを我々は常日頃見ている。しかし、それは光の当たる場だからこそ、忘れられがちなだけだ。人生を賭けた真剣勝負。なかなかそうと見ることは難しい。でも、俺はやはりそこに人生を分ける光と影があってほしいと思う。
 その影を見る。たとえば俺は、合同トライアウトなど生中継してもらいたいと思う。残酷だろうか? 残酷かもしれない。しかし、人に野球を見せて金を貰うのがプロの世界なれば、そんな残酷さにも立ち向かい、その上で野球に残れ。そんな風に思う。
 三木均投手。挙式目前の戦力外通告。自分より年下の奥さんが、とても大人に見えてしまう。やはり住む世界が違う。まあ、部屋もゴージャスだ。だいたい、野球でプロまで行ける人間は、どうとでもなる。そうでもない人もたまにいるが、だいたい真っ当に行こうと思えばどうとでもなるはずだ。そのへんを一応は認識しておかないと、なんとなく見ていてバランスを崩すところがある。その上で野球へのこだわりだ、人生の岐路だ。
 正田樹。今シーズンの解雇選手の中で、一番か二番にショックだったといっていい。彼の甲子園はよく見ていた。ひきこもって暇だったからだ。それだけに、思い入れは強い。台湾での活躍を期待したいと思う。
 河野友軌。伊集院光が野球ゲームで愛用していた選手だったか。二人の子を連れた奥さんの姿が印象的。ホームランを放ち、しかし引退を決意。この流れはなんというか、グッとくるところがある。これには言葉もない。
 と、そんなところだ。今は、NPB以外にも野球の道はさまざまだ。その辺で、また見ることもあるかもしれない。じゃあ、また。
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  • ホッシャ!……二年前にもほとんど同じ事を書いている。