Dynamite!!〜勇気のチカラ2008〜を見た感想です

 Dynamite!!を見ていて一番笑ったのは、キン肉万太郎が登場した瞬間だった。俺はあの、記者会見のかぶり物で試合をすると思っていたのだ(冷静に考えれば、視界がなさすぎて試合どころではない)。それで、出てきたのはあの中途半端なマスクマンだった。あまりの気持ち悪さに腹がひきつった。しかし、ドス・カラスJr.のことは忘れられているのだろうか、ちょっと気になった。
 Dynamite!!を見ていて二番目に笑ったのは、マスクがずれて視界を失ったキン肉万太郎が、ボブ・サップにぼこぼこに殴られる瞬間だった(実際にマスクがずれたというような記述はないが、そのときはそう見えた)。
 ボブ・サップに殴られる人間を笑うのは、残酷なことだろうか? そうかもしれない。しかし、あのなりで出てきた方に責任があるのではないか、とも言いたい。言う権利はあると思うのだった。中の人などいない。
 快哉を叫んだのは、ゲガール・ムサシが武蔵をみごとにノック・アウトした瞬間だった。会場の空気があまりにも武蔵にきびしいので、すこしかわいそうに思えてきたが、その刹那試合は終わっていたのだった。
 同じく、立ち技選手が総合選手に負けた試合がほかにもあった。川尻達也の芸術的な跳び膝蹴り武田幸三を捉えたのだった。また、体格差もあったが、アリスター・オーフレイムバダ・ハリトルチョック制裁したのだった。
 武蔵や武田幸三が今、全盛期というわけではないだろう。しかし、MMAの選手がKの選手にKのルールで勝つというのは、逆パターンよりも衝撃が大きいように思える。どうだろうか? よくわからないけれど、そんなことを考えたのだった。
 所英男中村大介。“回転体”というのか、十字を狙い合う展開。この緊張感は殴り合いよりもしびれたりしびれなかったりするのだった。また、青木真也エディ・アルバレス。こちらもグラップリングで青木が勝利。はっきり言って技術論で語るべき言葉を一つも持たないけれども、このあたりも非常にたのしめた。
 もちろん、桜井“マッハ”速人柴田勝頼の試合のような、パウンドを見るのも好きだ。そうだ、パウンドと言えば田村潔司桜庭和志。この二人の間の因縁についての知識などなにもない。自分はK-1、PRIDE以降のミーハーだ。しかし、よくわからないが、ものすごい因縁のような何かがあったとして、桜庭は最初からリングを和解の場として選んでいたように見え、田村はその点において完全に遮断していたように見えたのだった。もちろん、二人の現在の肉体の状態だとか、コンディションだとかもいろいろあるだろう(田村は若く見えた)。しかし、どうもなんというか、姿勢に差があったという、そんな印象を持ったのだった。
 というわけで、やはりいろいろチャンネルを変えてしまったり、年越しそばの用意をしたりと、いくつかの試合を見逃したけれど(K-1甲子園はあえて見なかった。深夜の別枠とかで流せばいいと思う)、ともかくかなり満足度の高い大会だった。正直、当日の朝のスポーツ紙を開くまで、ほとんどマッチメークを知らなかったのだけれど、なかなかに充実していたように感じた。「あれ、悪くなかったじゃん」と思ったのだった。それではまた、キン肉マン2世などに期待しつつ、また来年。