クロスバイクもうなんでも買ってやろうか

 ああ、もう、買いたい、欲しい。買う、クロスバイク買う。それは決まった。昨日今日と馬券で勝った。定額給付金ももらえる(のか知らんが)。そうだ、クロスバイクだ。ママチャリやロードレーサーMTBというのはありえない。まったくない。上位ランクの小径車というのはちょっと頭をかすめたが、いや、どうせならタイヤもおっきい方が得。
 ……で、何がいいんだろうか、と、ネット上でうろうろ考えてもあんまりわからん。いや、初心者向けクロスバイクというと、とりあえずジャイアンエスケープR3というのが候補に挙がる。「ジャイアンエスケープ」というのは、ジャパンカップダートに来るアメリカのG3馬みたいな名前でいい。それに、ジャイアントというメーカーのは、質はいいが安価ということだ。決して偽自転車ではない。が、かといって、他の会社のものがあと5万違うかというとそんな話でもない。どうも、なんというか、この手の自転車は、「これ以上ならママチャリとは決定的に違いますよ」というラインがあって、その先はもうとくに差がない、というとその筋の人には怒られるのだろうが、どうもそんな雰囲気を感じる。あとはデザインとかそのあたりでもいいんだろうが、まあはっきりいって、自動車ほど外見に差はないように見える。色とかは実際に見なきゃわからんし、正直なところあんまり「これがいい!」というのはない。フロントサスの有無とか、そのへんも聞いてみなきゃわからん。無くてもよさそうな気はしているが。
 というわけで、あとは実際に見て、聞いて決めるということにする。「見ての通りですので、取り回しのききやすい、軽い、通勤に使う、ちょっと遠乗りもできる、メンテナンスの楽な、丈夫なのください。ああ、こんなところに迷い込んですみません。ああ、お願いします。どうぞ、どうぞ、許してください。安いのでもうしわけない。決して自転車乗り面しませんので、どうか、お金払いますので、買わせて下さい」というスタンスで望む。なんでこんなに卑屈になるかといえば、自転車の世界は体育会系で金持ちでインテリではないかという予想をしているからである。すべて見えない対立軸で俺の向こう側にあるものである。
 と、でも、できれば早く手に入るのがいい。それが最大の条件かもしれない。在庫があるのなら、ピンク色だってかまわない。え、マジ? いや、ちょっと。えーと、あとは、そうだな、なんだ、スタンドとか、泥よけ? 泥よけいるのかな? それと、ライトは今使ってるのでいいだろう。よく光るから問題ないはず。ロックも今使ってるやつに、あとは使ってないカウボーイロック(重いのと、あんまり盗まれないんじゃねえの、こんな折りたたみ、という気のゆるみによる)を持ってくれば二つ、これでいいだろう。ベル? ああいう自転車ってベルつけんの? これもいまあるやつ流用。あとは、なんだろう、空気入れ、これは必要になってくるだろう。そんなところか? ヘルメット? いや、いらんだろ、とりあえずは。
 うーん、なんか面倒というとなんだけれども、面倒になってくるような気がしないでもない。しかしまあ、なんというか、腹をくくるか。そうだな、ここのところ、行き帰りの道で駐めてある自転車、走っている自転車を、まじまじと見つめる癖がついていた(完全に自転車泥の目)が、けっこう、ママチャリに混じって、俺のほしそうなあたりと思われるものがあるもんだ。10台、いや、15台に1台くらいの割合だろうか。歩きながら、片道でビアンキジャイアント、ジオスが駐まっているのと、白人女性のまたがったスペシャライズドというのを見た。あとは、本格的にロードレーサーな人が、西部劇の強盗だか、学生運動ゲバ棒持ってる人だかのように、口をバンダナみてえなので隠して走っているのを見た。あれはきっと寒いからなんだろうけれども、息は苦しくないのだろうか。いや、そういうトレーニングだろうか。まあ、いいや、関係ない。じゃあ、そういうことで。あと、ここまで書いておいて、尻込みして買わないという可能性も大いにあり。