朝青龍の奇妙な冒険

 今場所は進退をかけた土俵だった。場所前の横綱審議委員会のけいこ総見で白鵬に6連敗し、限界説も取りざたされていた。
 だが、初日の稀勢の里戦や4日目の雅山戦など序盤こそ苦戦する場面が見られたものの、日を追うごとに持ち前の勝負勘を取り戻し、復調。復活優勝を果たした。

http://www.asahi.com/sports/update/0125/TKY200901250112.html

 帰ってきた! 戦士たちが帰ってきた! 違う森繁、それは朝青龍朝青龍なの、乙事主さま! ともかく、朝青龍が帰ってきた。これはすばらしい。ヒール、ヒール、ヒールとイメルダ夫人の靴倉庫もびっくりのマイナスを、優勝というプラスと掛け合わせて……、マイナスになってしもうたがな(俺だってそのくらいの数学はできる!)。まあいい、1+1は2じゃないぞ、俺たちは1+1で200だ。10倍だぞ10倍、それが戦う男たちの算数。ゆでたまごはまったく間違っていない!
 では、朝青龍は何と足し算をして200になったのか? いうまでもない、内舘牧子に決まってる。

 横綱朝青龍(28)が、心臓弁膜症の手術を受けた横綱審議委員で脚本家の内館牧子氏に「お大事に」と言葉を送った。手術した事実は報道で知っていたものの、最初に質問された時には反射的に「知らん」。だが、車に乗り込む直前に「『お大事に』と書いておいて」と言い換えた。同氏は朝青龍への辛口コメントで知られ、角界で2人は「天敵」の関係とされているだけに、朝青龍は言動に慎重になったようだ。

朝青龍が天敵内館さんに「お大事に」 - 大相撲ニュース : nikkansports.com

 日刊スポーツは朝青龍嫌いでちいっともわかってない。これはもう、ツンデレだろうが。いつも通りのアングルで「知らん」と答えたあと……(もしも牧子に何かあったら)とよぎる不安。そこで「お大事に」という言葉がふと漏れる。牧子を心配しているのは‘美男子’キラー永田ばかりではないのだ。

ダグワドルジが無意識のうちにとっていたのは
「ガッツポーズ」の姿であった……
涙は流さなかったが
無言の男の詩があった
奇妙な友情があった

完。
 
 
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