岩國哲人の不出馬について

　こないだ、夜の道を歩いていたんだ。急に、ふと、人の視線を感じたんだ。「誰かに見られてる！」、そうゾクッときたんだ。びびった。人間ではない、もっと巨大な気配。ゆっくりとあたりをうかがうと……馬鹿でかい小沢一郎の顔のポスターの二枚がこっちを見ていたんだ。一つは笑顔で、もう一つは笑顔じゃなかったんだ。暗闇に小沢一郎というのはちょっとインパクトだったんだ。
　たぶん、そこが民主党の事務所になるんじゃないかと思ったんだ。たぶん、岩國哲人の根城になるんじゃないかと思ったんだ。それで僕は、選挙になったら、「いんやぁ、どうも、どうも、岩國センセには期待しとるんがやぁ」などと支援者のふりをして訪れて、振る舞い酒とか、豚汁の炊き出しとか、あるいはちょっと包んでくれないか、などという期待を抱いたのだ。当選でもすれば、ロハで寿司でも食えるんじゃないかと思ったのだ（※もちろん妄想ですので、実際の選挙でそのようなことはないのではないかと思います）。
　が、その岩國哲人が立候補しないと、今朝の神奈川新聞で知った。

民主党の岩國哲人衆院議員（72）＝比例南関東、４期＝は二十八日、党本部で会見し、次期衆院選に神奈川１区から立候補せず、政界引退することを表明した。
カナロコ｜神奈川新聞ニュース

　どうしたんだ哲人。……哲人（てつんど）というのは、思わず呼びかけたくなる名前の響きだ。だけど、僕は哲人のことはよく知らないんだ。でも、名前と、今度神奈川一区に来るということくらいは知っていたんだ。来るときにちょっといざこざのあったのは、こんな記事を読んで知っていたんだ。

小沢代表に国替えを命じられた岩國哲人が公認漏れの危機
http://bunshun.jp/shukanbunshun/thisweek_pol/081211.html

　しかし、地元議員らは収まらない。二〇〇七年秋の佐藤謙一郎氏の引退表明後、複数の地元議員が１区からの出馬に意欲を見せる中で、党本部主導で岩國氏の国替えが決まっていたためだ。「民主党は本当に政権を取る気があるのか」「こうなったら小沢代表が１区から出るべきだ」などと厳しい意見が相次いだ。
カナロコ｜神奈川新聞ニュース

　ということで、「お前、江田憲司に勝てそうにないから、一区行け」って言われて、来てみれば一区の人たちに歓迎されず、なおかつ正式な公認までもらえないという、板挟みというか、放置というか、そんな苦しいところにあったんじゃないかと思ったんだ。もちろん、政治や政治家、政界について詳しくないから、上の二つの記事を読んだ感想なんだけれども。で、本当に小沢一郎が神奈川一区から出たら面白いとか思ったんだ。有名人を、生で見られるから（小沢は自分のところで選挙活動とかしないのかな？）。
　ところで、現在の神奈川一区を押さえているのは、自民党の松本純だ。最近はめっきり減ったけど、前はちょくちょくアパートの郵便受けにチラシが入っていたんだ。ずっと麻生太郎とのパイプを強調していたんだ。麻生愛がみなぎっていたという印象だったんだ。だから、麻生が首相になったから浮かれてるんじゃねえのかと思ったら、内閣官房副長官とかいうのにとりあげられたらしく、ちょくちょく麻生のついでにテレビの端っこに映ったりしてるんだ。
　というわけで、神奈川の中心部、一区。そこで首相の側近を討ち取ればけっこうなインパクトなんだろうけど、どうも民主党に機運は訪れていないようなんだ。でも、これからの候補者次第ではわからないんだ。それでも、たぶん自分は自民と民主のどっちにも投票しないような気がしているんだ。

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