あるいは、ウサギと労働を巡るものがたり

プリーズインストロールザヒューマンマルチタスキングシステムオンミーナウ。

長年に渡り読み継がれてきた本「わが息子よ、君はどう生きるか」の著者であるフィリップ・チェスターフィールド卿が1740年にしたためた、息子宛ての手紙には「1つずつ事を進めれば1日という時間は全てをこなすのに十分な時間である。1度に2つのことを行った場合、1年あっても時間は足りない」とあるそうだ。

人はマルチタスクで行動できるか? | スラド サイエンス

 チェスターフィールド卿がどこの誰だか知らないが、まったくそのように思える。俺は一個仕事を与えられたら、サボりながらもそれに当たることができるが、二つ、三つと重なると、完全にどうしていいかわからなくなって、完全にサボってしまう。で、二つ、三つ重なったときこそ忙しく、余裕のないときであって、まったくもってケツに火がつく。俺の背中でカチカチ音を出してる兔は誰だ?
 これはどうも、持って生まれた怠惰ばかりでなく、いろいろの仕事を与えられたとき、たとえばこのマッキントッシュのようにうまくさばけていない、というような、また別の欠陥があるように思える。あれもこれもと言われると、どれもだめだというような。俺は二兎を追う者にはなれないのだ。
 と、いったところで、「じゃあ一兎だけでもいいよ」ということになっても、「そもそも兔狩りはちょっと苦手なものでして」とかいうことになり、そうなると狡兎死なずして駄狗烹らるということになりかねないのであった。切り株に兔がぶつかるのを待つ簡単なお仕事がしたい。