俺はなんで百合やBLにここまで弱いのか?

 『咲 -Saki-』を見ていて思ったね、なんでだろうね? 不思議だね? よくわかんないね? 百合とかBLとか、ようするに同性愛を題材にした色恋ものに、なんというか全面的肯定というか、プラス補正がかかるというか、ともかく「いいなあ」の波がおしよせてくるよね? そこんところがよくわかんない。
 なんというかね、異性愛だと「見てらんねー」という気持ちになることが多いね。たとえば、新海誠みたいなのだと、ゴロゴロ転げ回っちゃうけれども、もっとそういう濃度が低くても、やっぱりどっかそういうところがあるね。そんなもん見せつけるな、みたいな気になるね。だから、多くのテレビドラマは男女の恋愛をテーマにしてるから、「なんか見てらんねー」の箱に入っちゃうよね。
 じゃあ俺は、非異性愛者なの? というと、そんなことないよね。じっさい、おつきあいしている女性もいるしね。それじゃあ同性愛者じゃないの? というと、それはわからんよね。中高の男子校暮らしで、そういう関係になったことはないけれど、そういう関係(性的な意味でも)になりたいと思った子はいるし、俺もそう思われていたふしもあるよね。当時から、投稿ニャン2倶楽部を買ったかと思えば、次の日にはBL漫画にも手ぇ出してたよね。
 けど、やっぱりそれは異性愛というか、俺のスケベ心の対女性に比べると、範囲は狭いよね。というか、たぶん、少年愛の領域を出ないよね。それ以外(それ以上の年齢)は埒外だよね。たとえば、映画『ブロークバック・マウンテン』観ても、それを映画作品として観るだけであって、股間のあたりがむずむずしてきたりはしないし、男同士のまぐわいのところに、こう、身を乗り出して見たい、というところはないよね。正直いって、男女のまぐわいに比べたら、「見たくない」に近いよね。BLでも、サラリーマン同士とかだと、もうアウトだよね。
 で、それで、それがなにか、俺のエロ範囲が、フィクションの同性愛もの(非エロ含む)に対する、ポジティブな評価に、なにがどう影響しているかというと、さっぱりわからんよね。あるいは、同性愛というものに、過剰な純粋さを見出しているとか、そういうところがあるんだろうかね? でもね、別にエロまみれでもなんでもいいんだよね。でもね、純愛感が強いのかな? でもさ、別に男女にだって、それこそ純愛物なんてものは山ほどあるだろうし、古今東西、さまざまな大恋愛というか、そういうストーリーだって山ほどあるわけじゃん。でも、たとえばそれと『咲』の第一話と第二話を秤にかけたら、『咲』が満貫直撃二回分くらいリードするような、そういう感じがあるんだよね。
 ああ、でも、寝取られ話はどうなの? 俺の寝取られ話に対する執着というか、感度というか、思い入れというか、その好物さはどうなの? 俺はもう、寝取られ話が好きすぎて、自らに摂取を禁じているくらいじゃないか。たとえば、「今後一生、寝取られ物か同性愛物のどちらかしか選べない」となったら、そりゃあ八馬身差で寝取られ物だろうというくらいだよね。その結果、摂りすぎで死ぬかもしれないけれども、それはもうそうだよね。で、前も書いたけれども、やっぱりNTRは「男が別の男に好きな女を寝取られる」ところが肝であって、一部分を同性同士に置き換えたり、ジャングルジムに置き換えたりしても成り立つのは知っているけれども、自分としてはやっぱり「寝取られ男」というところに、強い、強すぎる共感を得るよね。
 だからなんなんだろうね。そこんところもあるよね。それに俺は「寝取られ」はどちらかといえば「エロ」の箱に入っているところがあって、百合とかBLとか見て、胸がきゅーんとなるのとは別の箱だよねって気がしないでもないんだよね。そこんところがよくわからんよね。あと、あるいは、俺が好きな美少年というものも、しょせんは女性の代替物でしかない、なんてことも考えられるよね。
 だいたいそもそも、死体や人形がいいと言っている時点で、ひょっとして生身の生きものに興味はなく、あるいはどこまでも自己愛の中にいるのかもしらんね。

 ……などとずらずら書いてしまったけれども、いったいなんだろうね、やっぱり書いたところでわからんね。書いていたら、なんかとなんかが繋がったり分類できたりするんじゃねえかと思ったけど、そんなことなかったね。
 ひょっとしたらこれは、俺が俺の後頭部を何の器具も使わないで見ようとするようなもので、俺には観察不能なのかもしれないね。プリサイスな心理学とか、あるいは科学の目でなきゃむりかもね。そのうち、脳のマッピングみたいなものが完璧に解明されて「ここの部分の働きが弱く、逆にこの部分が肥大しているせいだ」などと分析できるかもしれんね。でも、それがわかったところで、なんでそうなったというのは、今度は遺伝がどうこうという話があるのかもしれないが、まあ、たぶん無理なことであって、まあ結局、そもそも、なんでそうなんだって知る必要もないんだけれども、まあ俺は今のところ、これこれこういうわけであって、まあいいかってところじゃねえの、やったー!

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