追憶の藤沢の方へ

 ひさびさに土日ともに休んだ。ひさびさに藤沢の方へ行った。
 駅前にビックカメラ。これは俺の知らない藤沢だ。しかし、家電面での充実することによって、藤沢はえらく充実しているんじゃないかと思った。これ以前となると、駅周辺から離れたコジマやノジマ、あるいはヨーカドーやトポス、オーケーの家電売り場しかなかったのだ。

 遊行通りに行きたかった、ある古本屋へ行きたかったのだが、道を間違えてトポスのある方に来てしまった。いや。トポスはない。今あるのは、ダイエーである。この通りにもふたつほどよい古本屋がある。藤沢はけっこう古本屋に恵まれた街である。中古ゲーム屋なども多い。

 これがトポスの向かいのおもちゃ屋である。昔ながらのおもちゃ屋である。だが、中に入ってみると、ソフトエアーガンが充実していた。発泡スチロールに的を貼った試射台などあって、バスン! バスン!と物騒な音が店内に響いていた。小学生から中学一年二年、ここに来て、いろいろの銃を買った、弾を買った、ガスを買った。今は店内がどうなっているのかは知らない。

 藤沢といえばダイヤモンドビルと名店ビルだ。この二つは藤沢文化遺産といってもいい。同行者によると、どちらかのビルの貴金属店に、強盗が入ったことがあったという。その手口は、ビルの外壁の垂れ幕の内側に忍び、窓をたたき割るという方法だったらしい。ジョイパークも健在か。今度行ってみよう。レトロゲームコーナーはあるのか。ひょっとしたら、今、レトロゲームコーナーにあるのは、俺が中高のころ熱中した、あの連中かもしれないな。

 ほんとうの目的地は、ある大学であった。自分自身にはあまり縁のない大学だ。土曜日の大学は、あまり人もおらず、がらんとしていた。なにかセンチメンタルな気持ちになるかと思ったら、とくにそんなことはなかった。同行の人に、「ぼくはまだ大学生で通りますかね?」と言ったら、「さすがに見えない。OBじゃない?」と言われてショックだった。俺が見る鏡の中の俺は、AVに中学生役として出てきても、既存のAVの似非中学生男優よりもずっと中学生ぽいっていうのに(ハードルが低すぎる)。

 そしてまたオーケー。オーケーの上でアホみたいなサイズのフロアを占有していたダイソーが縮小し、かわりにシマムラが入っていた。サカゼンとかぶるのではないかと思ったら、サカゼンがスーツメインに衣替えしていた。一階のパン屋はなんだかおしゃれになっていた。

 つまびらかにせぬが、このあたりが俺の界隈。古着屋も二つとも健在だった。一方の古着屋は、昔ファミリーマートだった。ぜひ、現地に行って、「お前コンビニだろ」と指摘してみてほしい。

 日が暮れて雑居ビルの間。

 前はこんな円柱なんてなかったぜ。イトーヨーカドーも看板を変えて。そして、東急ハンズがなくなると、どうも文化の感じが薄まるような気がして。

 それじゃあ、またいつか藤沢、また来る日まで。

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