俺は人生に詰まるとファミスタをやるんだ

……いつだったか、俺がニートそのものであったころ、母とめずらしくシリアスな会話をした(おかしな話だが、ともにおしゃべりなのでニートのひきこもりだろうと、会話自体は絶えなかった。変な余裕のある親子もいたものだ)。「あんた、逃げてばっかりで人生どうするの?」。俺は、プレイステーションの野球ゲームをしていた。PSワールドスタジアム。俺がゲームに対してうわのそらになればなるほど、俺の赤ヘル軍団はホームランを打ちまくった。前田が、江藤が、金本が。みるみる二桁得点になった。あのときの俺は、世界中の誰よりもワースタがうまかった。

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 俺は人生に詰まるとファミスタをやるんだ。たぶん、そういうことだと思う。俺は、いろいろのゲームに、競馬シミュレーションやその他いろいろのゲームに、人生の時間を使ってきたが、どこか帰るべき場所があるとすれば、ファミスタかもしれない。違うかもしれない。だけれど、今はそう思わせてくれ。
 ファミスタを最後にプレイしたのは、PS版ワースタの最後の方。はたしてもう、何年前か(熱チュー!プロ野球シリーズもプレイしもしたが、あれは別物だろう)。しかし、今回、自分でも驚いた。俺の中に、プレイステーションのワースタの感覚が残っていたのだ。これには驚いた。
 具体的にいえば、DS2009で用意されていない、LR同時押しで全走者ストップ、守備時における、普通以上スライディング未満のダッシュだ。これには驚いた。もしも次作があるならば、これらもケアしてほしい。できることなら、バッティングフォーム、ピッチングフォームも、もう少し。
 ……いや、俺はゲーム機であるDSのポテンシャルを知らない。ひょっとしたら無理かもしれない。まあ、それならそれでいいだろう。たとえば、選手の収録数。これがすごい。俺は、日ハムや、ヤクルトや、楽天の、一年目や二年目の選手をいかに知らないかということを思いしらされた。そのあたりは、いい。名前も漢字でフルネーム、それでいい。
 ああ、俺の中の懐古趣味とハイスペック、進歩主義。まあ、そんなものはどうでもいい。俺はただ、黙々と、黙々と、一人で、ファミスタの世界に没頭して、そのまま死ねばいいのだ、なあ。