三十路のおっさんはアニメの彼女たちをなんと呼んだらいいんだろう。

俺がアニメの感想とか書くときに頭を悩ませるのは、キャラをどう呼ぶかだ。

http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20090710/p1

 これがよくわからん。いつも戸惑う。呼び捨てでいいのか、〜ちゃんなのか、〜さん、なのか〜にゃん、なのかなどなど。なんか、汗がにじんでくる。むずかしい。
 ただ、呼びやすいキャラもいる。それはなんだろう。たとえば、最近のアニメでいえば、『亡念のザムド』のナキアミなんてのはすごい好きなキャラなんだけれども(日記では一回も触れてないから、いま変換したら「鳴き網」って伝統的な野鳥捕獲法みたいなのが出てきたんだけれども)、「ナキアミ」でいいような気がする。ナキアミは〜、って感じだ。
 あと、『かんなぎ』のナギ様もいい。「ナギ様」。なんつーか、「様」で落ちつく。落としどころがある。敬称があると楽なのか? 古いところからいえば、「ハマーン様」というのはおさまりがいい。アキラはきゅんだ、アキラきゅんだ。
 そういえば、敬称かどうかはわからんけれども、『けいおん!』では、「りっちゃん隊員」というのは、スラッと書けて抵抗がない。
 そうだな、『けいおん!』のほかではどうか。主人公は? 平沢唯。ほら、こまる。「唯」でいいのか? ちゃんとかつけるの? にゃん? にゃんは「あずにゃん」だろ。しかし、いきなり話は飛ぶが、「あずにゃん」というのも少しひっかかりがある。なんかこう、酒の勢いみたいなものが必要だ。秋山澪など一番好きといってもいいが、しかし、「澪」でいいのかどうか。うーん、「りっちゃん隊員」はいいな。なんかその、呼び捨ての距離感か? みたいな。
 えーと、ほかには。たとえば、ヱヴァの人たちはどうだろう。シンジはシンジでもいいが、シンジ君だとさらにしっくりくる。カヲル君、でもいい。ミサトさん。ミサト。リツコ。赤木博士。りっちゃん隊員、加持さん。加持。ゲンドウ。冬月。このあたりは抵抗がない。では、綾波レイ。レイだけだと、ポジーの娘かと思うので、綾波アヤナミ。このカタカナにするニュアンスは、「様」付きと似たような効用か? 式波・アスカ・ラングレー、この子は「アスカ」でいい。真希波・マリ・イラストリアス。このあたりは、ちょっとどうしようかと思う。マリ、でいいのか。いいんだろうけれど。いちいち「真希波・マリ・イラストリアスちゃん」というわけにもいかんし、ちゃんというキャラでもないし。どうでもいいけれど、なんか真希波を見たいがために、もう一回映画館行きたくなってるよ、俺。
 つーか、呼び捨てでいいのかな、基本。あー、なんだろう、脳の別路線からこんな案も出てきた。「おまえ、中高一貫男子校のあと、すぐに大学ドロッパウトしたから、女の子の名前を呼ぶのに慣れてないんじゃねえの?」と。それはどうだろうか。わからん。いや、ちょっと違うような気もする。
 なんだろう、表記でそのキャラとの、アニメとの距離感みてえなもんが、計られるような、表現しているような気がする。いや、たとえば、そのアニメじゃないけど、本当のことなんだけれど、永田裕志を「永田さん」を呼ぶときに、そう書くときに生じるニュアンスっていうのがあるはずだ。「新日本プロレスの永田選手」と書くのと「新日の永田さん」と書くのと「キラー永田」と書くのでは、かなり違うニュアンスを持つ、違う情報を持つ。そんな感じだ。
 というと、なんとなくその、ニュアンス、俺が俺とアニメとのアニメのキャラとの間、距離感を、よくわかっていない、そんなところがあるかもしれない。べつに、アニメ好きとか、アニメキャラ好きが恥ずかしいかといえば、すくなくともこの日記の俺はそんなことねーけども、ただ、逆に、すげえ萌え萌えきゅーん、で、もう……、えーと、たとえば、今俺は、ひとつのたとえ、すぐそのあと否定するたとえとして、『咲-Saki-』の東横桃子を挙げようとしたんだけれども、「モモは俺の嫁」的なことを書くのにすごい躊躇したじゃん。まあいいや、えーと、本気で「モモは俺の嫁」(……いや、百合キャラを「俺の嫁」というのはおかしいのではないか、という別の疑問)とか言えるかというと、それはちょっと、そこまで本気さはねえなあっていうか、そこのところは正直に、そこまで萌え萌えじゃねえよっていうところがあって。いや、でも、先週のあれはよかったね、あれって、あのキャラのそのあたりだよ、わかれよ馬鹿。
 いや、まあ、ともかく躊躇するところがあるんだな。なんかまだ、しかし、その、アニメとかに、あるいは萌え界隈というものについて、この、周回遅れでついてきた身として、甘い心構えでコミットできないぜって、そんなところあるような気がするのよ。そこんところだな。なんかその、このあたりの葛藤が解消された末に、俺はもっとアニメの方へ行っているのかもしれないし、そうなったら、もっと自由自在だろう。自由なのはいい。もっと自由に、闊達に、大用現前軌則を存ぜずで、そんなんになりたいと思う。それじゃあ。