日曜日の朝、大黒ふ頭へ

 朝早く起きた。本当は宮ヶ瀬の方へ行きたい。服部牧場あたりからのメールを最後に、消息を絶ちたい。しかし、輪行袋が届かない。輪行袋と死体袋。
 午後から人と会う予定ができた。暑くもなく、寒くもない。俺は「埋立地に行こう」と思った。

吾一人ありて歩める運河の岸青き潮干はしばしだに見む

土屋文明『山家集』

朝の自転車行き

 ただひたすらに眠い。体は動かない。風は涼しい。秋の気配。気づいたら、雲と太陽の写真ばかり撮っていた。


 Y150は終わっちまったのかな? ばかやろう、まだはじまってないんだよ。

 河か海かわからぬようなところ。海面とも河面ともいえぬところは水面と呼べばよろしいか。





 水面ばかり見ていると、自分がどこにいるかわからなくなる。どこの国にいるのか。





 いつか訪れた埋立地の道。大黒ふ頭へ、渡れるようだ。大黒大橋。歩行者区域がある。釣り人がいる。釣り人は、どこにでもいる。俺は、釣り人たちの雰囲気が好きだ。




 スカイウォークの下の公園。伸び繁る雑草。無言で釣り糸を垂らす男たち。そこに響きわたる、ラッパの音。ラッパの練習をする男がいる。空気をふるわすような、ラッパの音。この世の終わりの場所みたいだ。ただ、練習だからときどき音を外す。なおさらぴったりじゃないか。





 工場の間に迷い込む。不意に四方から響くラジオ体操。ラジオ体操の残響。俺は帰れないのではないかと思った。



 結局、帰れたんだけれども。

Dst51.08km/Av17.1

関連______________________