死に票を殺す

投票箱最後の一票

 選挙についてたまに想像することがある。見てみたいものがある。投票時間締切ぎりぎりの投票場の光景だ。午後7時58分。締切2分前の空気。キラキラ星が流れ、ついに締切のベルが鳴り響く……。

 実況は及川サトル。拍手大歓声が空に吸い込まれていくトゥインクルの夜。手すりに寄りかかった俺は、メーンレースのことを頭から追いやるふりをして、最終レースの出馬表に赤ペンを引く。
 だが、ちょっと待ってほしい。衆院選の実況を及川サトルがやればおもしろいと思うが、そういう話ではないんだ。なんというか、最後の、最終盤の投票行為。そこに投じられる一票。なんというか、もう結果は出ているようなものだ。もう、箱の中に入ってるやつで十分だ。今さらだ。下手すれば、自分が投票した一分後に当確が出る。
 ……それは感覚にすぎない。朝一番に投票したって一緒だ。だけれども、なんとなく、締切ぎりぎりの投票、そんなものを想像する。なんというか、死票というやつについて、そんなイメージがある。

死に票

 しかしなんだ、死に票。ウィナー・テイクス・オール。これが競馬なら、パリミュチュエル方式なら当たり前だ。しかし、民主主義の政治で、それでいいのかね、と。「小選挙区制では死に票が多くなり、民意が反映されない」とか、「51対49でも、51が100で49が0だ」みてえな。
 と、なんかそこで俺のゲーム脳がささやいた。「その51とか49が行動ポイントみてえになればいいんじゃねえの?」。
 あー、そうね、得票に応じて(どう応じさせるかわかんねーけど)、議員に持ちポイントが割り振られる。そんでまあ、その合計が党のポイント=行動力ってことにもなろうか。んで、国会とかで、なんかコマンド選択して、実行すると、手持ちの行動ポイントが減っていくわけよ。法案提出に○○ポイント、贊成票に▼▼ポイントって。
 そうすっと、野党が「これはなんとしても!」って思ってて、ガーンとポイント使って賛成票入れたりして、そんで、与党は「これはそれほど争点じゃねえから、ポイント使わないで貯めておこう」とかなると、野党の案で法案が成立したりとかさ。オークションじゃねえけど、どんぐらいやったるか、みてえな。
 あー、しかし、四年だったりってのは長いな、ポイント配分とか難しそう。なんか急な事態が生じて、そんときにもうポイントないです、じゃ大変だったり。そんだったら、あれだ、ターンごとに回復すりゃいいんだ、ポイント。月毎でもいいし、なんか開催ごとでもいいよ。そんで、アイテムとか使うと回復とか、特殊スキルを覚えると消費ポイントが75%で済むとかさ……。政治家も「奇跡」とか「必中」とか「気合」とか、そんな精神コマンド使えるようになったらいいんじゃねえの? あれ、なんのゲーム? よくわかんねーけど。

(猫の写真に意味なんてないんだ!)

まあ、こんなんしょうもない妄想だけれども

 でもだ、なんだかわからんが、この世はそうなっていないわけであって、おそらく、上のようなことを考えた奴だっているだろうけれども、やっぱりそっちよりこっちの方が、なんだかんだいって社会が回っていくようになってんだろうな。

三十歳のおっさんにして学びたい - 関内関外日記(跡地)

 というわけで、相変わらずこんなんなんだけど、まあしかし、なんかその、この民主主義その他の制度についても、いろいろな可能性があって、それがどっかで潰れたりして、そんでこうなっているわけであって、なんつーの? 使徒みたいな? そんなものをちょっと思いついておいて、それがどうやって負けてきたかとか、そんなのあとから追うことができたら、それなりに勉強になると思ったのだった。おしまい。