迷走横須賀60km〜なぜ俺はうらさみしい工業地帯で他馬に関係なく転倒したのか〜

概要

 朝の9時ごろに目が覚め、うだうだするうちに昼近くなってようやく腰を上げて自転車にまたがった。実はこれ、作戦なのである。どうもイレ込み気味で走ってこむらがえってしまうようなところがあって、一昨日の今日でもう一度つってしまってはつり癖などついてしまうのではないか? という懸念。そのため、馬に「今日はポタリングだからな、ゆっくり走るんだぞ」と思いこませるための調教なのである。
 そう、今日はポタリング。「三浦半島一周しよう!」というような大それたことは考えず、うろうろ路地やうらさみしいところを走って、写真を撮ったりすればいい。また100kmとか考えたら、身体がもたない。そんなわけで、腰のベルトにカメラ入れをくくりつけて(ホームセンターで買った。すばらしく役に立つ)……って、Amazonで売ってたから紹介。

 これなんだけれども、丈夫なカラビナでぶらさげてもよし、ベルト通してもよしで、なんというか丈夫でつかいやすい。ジッパーの太さとかも上々。とにかく、コンデジ入れるのにぴったり。散歩のときもぶら下げたりしてる。
 ……ええと、概要ってどういう意味? まあ、そういうわけで、ゆっくり出発。そして……、イレ込みの心配する必要ないくらいなんか足が疲れてて、頑張って漕ごうという気がしない。実は、「足つったの、ちょっとサドルが低かったんじゃね? あと、グリップの角度も変えておこう」とかちょっといじって、より前傾体勢とれるようになったはずなんだけれども、まあしかし、なんかもっと上体起こして楽に走りてーとか思ったりしたのだった。そして、住宅地をわけもわからずうろうろし、また釣り人のいるうらさみしい海辺にでて、道の真ん中で一人で勝手に転けたのだった。

数字

Dst63.23km/Av20.4km/h/3:05'33……今日はとくに言うことなし。ただ、疲労度はすごかった。昨日夜更かししたせいもあるかな。

湘南鷹取


 16号をポタポタと南下。途中、信号待ちで気になる交差点。「湘南鷹取入口」だったか、鷹取といえばこないだ磨崖仏を見に歩きに行ったところ。左折すると急カーブの坂があって、そこを登って正面の高架に乗るのか……。
 どうも気乗りせず、このままではぐだぐだかというところもあって、とりあえず登ってみた。正直、「登る3:登らない7」くらいの比率だったんだけれども、気持ちを裏切るときもある。



 山を登っていったら、なかなかよい感じの住宅街が広がっていた。なんだろう、どうだろうか、なかなかいいじゃないか。なんというか、この写真をして、「思い出の界隈です」といっても、違和感ないような。いや、誰かにとってはそうなんだろうけれども、その、ねえ、わかんねえか。わかんねえな。それとも、俺の実家のあたりと似ているのか? まあとにかく、俺はどうも、こういう、誰かの記憶の中にしか生きていないような場所、雰囲気が好きなんだ。観光地とか名勝とかとはまったく関係ない、誰かの心の中にもぐり込んだような、そんな気がする場所がさ。わかるかな。わかんねえか。


 で、そういう場所は往々にして別に自転車趣味者が走りに来たりしないし、道も細く文庫版地図ではよくわかんねえので、迷ったりする。そして、そんなときに限って尿意。トイレのある公園も見あたらなければコンビニも……と、ようやく一軒見つけて助かる。ついでにコーヒー牛乳(小さいパック)と唐揚げみたいなの一個買って食う。そのままどこにでも出てしまえと、ちょっと漕いだら、さっき通過した16号に出た。なんとなく、方位磁石から予測はしていた(北を向いていた)けれど、ね。

夏島町〜浦郷町〜自転車と釣りに関する考察〜

 さて、横須賀に向けて南下……という気にもなれず、なんとなく埋立地のにおいがする方へ。だんだんよい雰囲気になってきて、なんかでかい建物が出てきたと思ったら、「アイクル」というリサイクル施設があり、その横にはずらりと釣り人たちが。なんどめだこのパターン(例:水際線緑地を目指して - 関内関外日記(跡地))。



 どうして、こうなんだ。俺は埋立地が好きで、人気のないところがよくて、海とかあったらよくて、そしたら、釣り人がいる。山に行ってもいる
 ……ひょっとして、ある種の自転車趣味者(バリバリのスポーツマンです! という体育会系以外)と、釣り人には似たところがあるんじゃないのか? 自転車と釣り……と、ここで俺は自分が敬愛する二人の人物の名前が思い浮かんだ。桜玉吉伊集院光
 桜玉吉と釣りについては言うまでもない。自転車については、餓死騒動のときの元ネタになったファミ通宣伝漫画を見たら、やはりマニアっぽさが感じられる。伊集院についても、自転車、釣り、たまに語るところ。

 ……そして俺。俺、釣りはしない。むしろ、嫌い。魚とか虫とか怖いし。でも、あの、釣り場の雰囲気。適度に距離を取った人たちの群れ、老若男女、ヤンキーもサラリーマンも男も女も、ときおりなんかアクションはするが、だいたいボケーッと海見たりしてる。それがいい。その空気がいい。俺も釣り糸を垂らさずに、その列に加わって、一日中ボケーッとしたい。本とか読んでもいいだろう。ただ、なんか場違いなような気もするので、やらないが……。
 と、ここで話は飛ぶ。自転車と釣り。この二つを股に掛けてたいへんな地位を築いている企業があるではないか。言うまでもない、株式会社シマノである。

 これは、単なる偶然であろうか? 俺は何か、巨大な闇に触れてしまったのか? あと、シマノはペダルを漕いだらリールが回るような製品を出せばいいと思った。


 ……俺たち、ずっとこうなのかな?


 ここまで。見ればわかる。

初ゴケ


 くだらことを考えていたせいかどうか、なんだかわからんが、ともかく転けた。自転車に乗り始めて9ヶ月、累計走行距離1,700kmにして初めてだ(その前に折りたたみ自転車乗り始めてからもはじめてだと思う)。転けかけたり、自転車が勝手に倒れたりはしたが、自転車で走ってて転けたのは初めて。
 場所は上の道路。まわりに人も、車も、自転車もいなかった。俺一台。もしも見ているやつがいたなら、それは神さまみたいな何か。たぶん。で、俺はなんだ、なにか凄いスピードを出していたか? スラロームでもしていたか? 否、否、否、ママチャリくらいの速度でポケーッと走っていて、なんか気づいたらよれよれよれってなって、あれあれってなって、左側にガシャーンってなったのである。これはもう、天狗の仕業だと思う。
 まあしかし、幸いにも、人に見られなくてよかった……というより、迷惑かけなくてよかった。人っ子ひとりいない、車もいないで、かなり油断していたからな。つーか、ポケーッと走るんだったら、クリップから足抜いておけ、という感じ。つーか、まあ、たしかに足固定すんのあぶねえわ。でも、まあ、こればっかりは、もう俺、愚か。
 そんでまあ、怪我もたいしたことはなかった。今日はユニクロの長袖メッシュ(下にハイテクアンダー)だったんだけれども、別に服が破れるでもなく、傷もちょっと擦った痕がついた程度。ただ、左足、左手、そして左頭に打撲の感じ。そう、はっきりとはわからんが、頭に痛みがあった。ヘルメットが守ってくれたのか? そして、このダメージによって、俺は新しいヘルメットを買う必要があるのだろうか(ヘルメット買い換えたいがためにわざと転けたわけではありません)。
 自転車の方もダメージはないみたいなので、「もう三浦半島一周どころじゃない」という心持ちになって(やっぱり一周しようとしてたのかよ)、ポタポタと走り始めた。しかし、この身体の痛み、なんというか、ものすごくなつかしい。よくわからんが、子供のころは、もっと転けたりしてたと思う。だからって転けたいとは思わんが。

深浦湾





 なんつーか、まあ、このあたり、転けたショックでよく覚えていない。ただ、あの、埋立地の果ての発射台みたいなの、いいよね。ここからマスドライバーで月軌道へ日産車とか打ち上げるんだぜ、たぶん。


 新しい工場や倉庫もあれば、やけに古いのもある。古い方が素敵なのはいうまでもない。こんなん、なんか土屋文明の歌を思い出したりするよね、みたいな。





 なぜ俺は、うらさみしい場所に出てしまうのか。そこには必ず釣り人がいるのか。


 原付の荷台に小さいおっさんが乗ってるように見えるライフハック

田浦港町まぼろし廃線

 そのあと、さらに海沿い海沿いをポタポタ。完全に整備された埋立地とも違う、なにかうらさみしさ倍増の雰囲気。謎の廃線など出てくる。もう、うらさみしすぎてうらさみし死にするかと思った。


 ほら、なんだよ、これ。


 えーっ!?





 もう、はっきりいって最高。でも、あんがい車も通るし、働いてる人、トラックの姿もある。残念、といっては身勝手だろうけれども。


 横浜ベイスターズの総合練習場というのが突如出てきた。誰もいなかった。ここから新しいベイのスターが生まれては、ハマスタに登場するのだろう。俺はベイスターズの選手の顔と名前をあまり知らない。

折り返し地点



 なんだかんだで、また南下しはじめたけど、またトイレ行きたいし、ウェルシティという施設のコンビニで用足し&買い物。あんまり空腹でもないけど、もうここで昼飯食って帰ろうと決断。サンドイッチとチーズのはさまったパン、飲み物はゲロルシュタイナー。好きです、炭酸水。
 あと、ここのコンビニと広場の雰囲気はよかった。それと、よさそうな折りたたみ自転車に乗ったお父さんと、小さな娘さん二人、その子らが乗っているのがジャイアントのMTBだった。サドル高めで、ヘルメットもちゃんとして。将来は立派なジャイアンツになるはずだ、たぶん。
 ……しかしまあ、まあ、こっからちょっと行ったらヴェルニー公園であって、「横須賀に来た」感はあるんだろうけれども、正直、飽きてるし。いや、飽きてる方に来るなよ、いいじゃねえか、勝手だろ。

八景島

 帰りは16号からいったん逸れて八景島の方を通ることに。


 まあ、八景島っつっても、こんなんだよ。うらさみしいよ。



 シーパラダイスだよ。船たちが、終焉のときを迎えに、ぞくぞくと集まっては並んでいくんだよ……。


 なぜ、俺の行くところ、好むところには、必ず釣り人が……。


 まあ、八景島ではないのだけれども。
 あとは、漕いで帰った。最後は、転けた痛みも忘れて、ちょっと気持ちよかった。気持ちのエンジンがいつかかるかよくわからん。

総括

 まあ、ポタポタできたかな、と。ただ、転けたのはいただけない。もしも真後ろに時速80km/hで走るケッテンクラートとかいたら、ドイツ兵に怒られていたところ。反省したい。とはいえ、今までこむらがえるくらいのトラブルしかなかったので、これも一つの経験と前向きに捉えるか……。
 こむらがえりについては、予兆も見せず。ただ、出発時は太腿とかが疲れていた。如実に。昨日、妙に歩いてしまったというのもあるが、やはり、だいたい週一でしか乗っていないというところで、連続使用に耐えないのだろう。これでは、泊まりがけとか無理だ。まあ、無理なら無理でいいや。そんなところで、バハハーイ。

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