『涼宮ハルヒの憂鬱』の終わりと『涼宮ハルヒの消失』ワンダーランド

1枚に2話〜4話収録されて7000円近く出さなければならないDVDに比べれば、1回1800円で済む映画の方が気軽に手を出すファンが多いのかもしれませんが、ハルヒの場合は新作話数の放送自体がかなり延期されていたうえに、「エンドレスエイト」でほとんど同じような内容を8回放送し、さらにその DVDも2話ずつ収録で販売するという「暴挙」と呼んでも差し支えにないような行為を行っており、今回の映画化も「観に行きはするけれど、なんだか釈然としない」という思いをファンに抱かせるのではないかと懸念してしまいます。

ハルヒファン待望の「涼宮ハルヒの消失」は映画に、2010年春に劇場公開予定 - GIGAZINE

 俺は「ハルヒ」について、このたびの「あらためて放送」から入ったくちの人間。今回の放送までの間隔や、あるいはDVDの価格についてはあまり縁がない。ただ、「エンドレスエイト」の苦行のようななにかにはつきあってしまった。はじめはおもしろくも思ったが、今思い返すに、やっぱりおもしろくないなにかという気がする。それは、「ハルヒ」について、「お、けっこうSFしてるんだ」という好感度を持ち、原作まで読んでしまったりしたあたりに、やや冷や水かけられたような気がしてしまったからだ。オチも原作と一緒だったし。それに、俺にとっては、新作パートでなくとも、未知のものだったし、まあ俺はともかく、単純に「ドラえもん」の放送を楽しみに金曜日を待っていたガキのころと変わらん。足止めをくらったという気はしている。
 して、俺にとって初見の「サム・デイ・イン・ザ・レイン」、これはこれでよい、と思ったのだけれども、それが終わって「消失」の告知。入ったばかりとはいえ、これがどのような話なのかというのは、なんとなくわかる。噂されていたのもわかる。そして俺は、「消失」の原作も読んでいる。

それで、やっぱり『涼宮ハルヒの消失』が出色の出来かなーって。俺、もともとP・K・ディックとか好きな人じゃないですか。この、いきなりハルヒのいねー世界になってた、みてえなところがね。そこんところで、前のあれとなにが関わってきて、そうだったのか、みてーな。そうすると、上のアニメで長門が、というあたりのそれもなんかみてえな、そういうところあんのかな、みてえな。

 でも、なんつーのか、シリーズはまだ続くし、ハルヒを選ぶにしろ、長門をえらぶにしろ、朝比奈さんをえらぶにしろ、そこんところをズバッとはっきり、選ばせるってのは無理なんだろう。しかしまあ、SFなんだ、「もう、これで話終わっちゃったんじゃないか?」とか、「続いたとすれば、どの世界だ?」みてえな不安を抱かせるくらいの、投げっぱなしくらいのじゃだめなのか!

 という感じで、「消失」はやはり今のところのシリーズ中で出色、そうは思う。不満もあるが、よかったぜって感じだ。でも、そのあとシリーズが続いてしまうところに、なんというか、蛇足といっていいのかどうかわからんが、みたいなところもあって。そういえば、今のところの最新刊は途中で止まってしまっていて、そのあたりの興の乗らない理由になっているかもしれず。
 というわけで、「消失」をやるのならば、なんというか、原作通りでなく、「もうこれでハルヒ終わらします」くらいのことやっていいんじゃねえの、という気がする。上に書いたみたいな、そんな終わり。一発、もう、あっちの長門をチョイスでもいい。べつに映画なんだから、もしも続きやるとしても、何食わぬ顔で始めればいい。あるいは、アニメ版「消失」をあらためてやればいいんじゃねえの? 「エンドレスエイト」よりマシだろ。
 と、まあ、そんな風に思うのだけれども、ただ、俺、これ、劇場に行ける? はっきりいって、ヱヴァに一人で行くのに躊躇した人間だ。さらにいえば、これはさすがに彼女の人を誘えない。俺にとって、この「消失」に行くかどうか、そのあたりまでアニメに食い込めるかどうかというところ、どうなるかわからん。もしもどんでん返しのオチがあるならば、早めに消化した方がいいとは思う。ただ、俺、そこまでハルヒシリーズ好き? だいたい、あんまり涼宮ハルヒ自体が好きになれない。いや、まま、まあいいや、そんなところで。

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