遅ればせながら『2001年宇宙の旅』を読む

 俺は俺をSF好きだとは思っているが、SFファンかというとあやしいと思う。読んだ量が足りない。そして、オールタイムベストをあんまり押さえていない。たぶん。まず、ヴォネガットから入って、P.K.Dの世界をさまよい、サイバーパンクブームを経て、ハードSFも好きです、みたいな。日本のSFはよく知りません、みたいな。
 で、たとえば御三家、アーサー・C・クラークは『宇宙のランデヴー』シリーズと『地球幼年期の終わり』だけ。クラーク―アシモフ協定の相手であるアイザック・アシモフについては『神々自身』と『ネメシス』……『ネメシス』読んだっけ? で、ハインラインについては『夏への扉』のみ。こんなもん。まあ、なんかシリーズものには入りにくいとかあるけど、どうも遠回しにしてきた。もちろん、おもしろいことはわかっとる。わかっとるが、古本などで供給される量などを見ても、安心してしまうところがあったりして。それは、SF以外の小説なんかもそうなんだけど……、いや、まあ、ともかく絶対読書量が足りない、だけ。

決定版 2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)

決定版 2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)

 で、ふと、『2001年宇宙の旅』を読んだ。これなんかは、SF読み始めてまっさきに行くべき一作のような気がする。が、あれだ、そうだ、人から続編の二作をかなり早く借りて、でも、『2001年』読んでからだなって、ずうっと人工冬眠みたいな、そんなところだった。それで、なんだ、『2001年』を買ったことすら忘れていて、それをふと見つけたということなのだ。
 あと、あれだ、やっぱり、子供のころに見て、まずさっぱりわけがわからんかった、それでもやたら怖い印象のある、あのスタンリー・キューブリックの映画、あれもある。あのわけのわからんものが、一種のトラウマなどというと言いすぎだろうが、ちょっと『2001年』を遠ざけていた理由であると、それは言える。
 そんで、読んだ。一気に読んだ。おお、なんか、そうなのか。明解といったらなんだけど、明解だ。それにハードだ。モノリスは硬そうだとか、そういうわけではなく、ハードSFという感じがする。俺は馬鹿のくせにハードSFが好きなんだ。SFにメロドラマはいらねーとか思うこともあるくらいだ。

 そんなんでな、続編がどうかは知らんが、ともかくこれは『宇宙のランデヴー』の一発目くらいの、それでさ。しかもなんだ、あの、ねえ、ちょっとサイバーパンクの萌芽というか、そういうところもあるんじゃねえの、グリッドの地平線みたいな。それに、もちろんかのHALはイアソンやゾラック、ヴィザー、AXIS、ジル、人工実存AEのはしりみたいなもんだろうしさ。あーいいよ、いいに決まってるよ。もちろん、写真の「焼き増し」だとか、なんか書かれた時代を感じさせるものもあるが、しかし、もう、圧倒的に、圧倒的にすげーんだよ、そのな、予見性、想像力、なあ。無重力状態でどうやって歩くのか、とか、おまえ、ベルクロ仕掛けの床と靴だぜ。「宇宙ステーションでの歩行は俺に任せろ!」「やめてー!」。
 つーわけで、ろくな感想もなく、また今度は映画も見直そうとか思いつつ、もう心は続編。それじゃあ。