スーパーで100g8円というバナナを見つけ、おもわず一房買った。失敗だった。ところどころ黒くやわらかくなっているのに、ところどころ固く、全体的に甘くない。失敗だった。「バナナは数十円上積みしても、よいものを買うべし」と座右の銘にしているというのに、まったく異常な安値に目がくらんだ。
捨てるわけにもいかないので、ジャムにした。細く輪切りにして、耐熱容器につっこんで、半分に切ったレモンの汁をまぶして、スプーンで潰した。砂糖もばさばさかけた。シリコン製の落とし蓋（ほんとうに豚の顔をしている）をのっけて、レンジで加熱。五分後、けっこういけてる？ よし、もうちょいあと、二分。でけたー。翌朝冷えたのを、あたためてもいないパンに盛って食った。まあ、こんなもんだろう。
ともかく、「バナナは数十円上積みしても、よいものを買うべし」。そちらの方が、味もボリュームも保ちもよい。お買い得なのだ。俺はそれを忘れない。忘れないことにした。
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