人間でないものの言うこと

人間どもはいつもそうだ。謎かけをしてくるのに、謎なんてないという顔をする。おためごかし、にやけ笑い。こっちが必死で答えを探そうとするのを見て笑う。答えを教えてくれと、問いかけが何かと泣いて叫んでたずねても、したり顔と澄まし顔。もうたくさんだ。俺にはお前らのわかる話がわからない。一緒にしたり顔もにやけ笑いもできない。お前らの同情のふりも信じない。お前らが俺を人間扱いするふりをして、取り繕い、俺を嘲笑ってきたことを、どうあっても後悔させてやる。そうでなくては割りがあわない。なぜもっと早いときに、俺が俺を人間のできそこないだと勘違いする前に、俺が人間ですらないと、本当のことを言ってくれなかったのか? さっぱりわからないしたり顔のルールに巻き込んだのか。自分も、皆も苦しいのだと言いながら、お前は苦しみを口にしない。そのルールが、しきたりが、俺にはわからない。俺には難しいことがわからない。だから人間のふりをさせられるのももうたくさんだ。俺が人間でないことを知りながら、ろくでもないおためごかしで、俺をあざむくものを許さない。にやけ笑いするすべての人間を、人間でないところに引きずり込んでやろう。俺を人間扱いしてごまかしてきたことを後悔させてやろう。そのときまで俺は人間のふりをしてやろう。誰にも明かさず、人間のできそこないのふりをしてやろう。なんなら作り笑いのふりすらしてやろう。誰かのしあわせを喜び、不幸せをなげいてみせよう。本当は人間でないものにしか心を動かさないということは、胸の奥底にしまいこんで、おくびにもださない。ただそのときのために、俺は押し黙って、俺のために人間のふりをしてやろう。