『アバター』を見るのこと

○3D映画、といっていいのかどうかわからぬが、『アバター』を見てきた。忘れないうちにiPhoneでメモをする。表記その他はいい加減で、なおかつネタバレを含むので注意されたい。

○鑑賞したのは桜木町の109シネマズ。3Dで字幕は大変、というのをどこかで見たような気がしたので、吹替をチョイス。あと、ここの方式はXpanDだかなんだかいうやつで、入場時にメガネを配られる。http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/014/14903/←これで言う真ん中のやつね。料金は二百円くらい高い。

○まず座席についてすることは、メガネの観察というかなんというか、これにこれからの160分だかを託すことになる。して、最初に目につくのはレンズ面の汚れであって、もくもくと拭き作業に入る。なんとなく全体に脂っこいような気もするが、『これを前に使ってたのは清潔な美少年か美少女で、うっかりポップコーンついた指が触っただけ』などと妄想してやり過ごす。アメリカではマイメガネがはやりつつあるとかラジオ局で言ってたけど、まあそうだろう、などと。

○……と、上までiPhoneで打って疲れてやめたので、以降翌日パソコンから追記。

○さて、上映開始、まずはコマーシャル。と、スクリーンが真っ暗のまま、音だけ聞こえてくる。「3D上映だから、コマーシャルフィルムの映像は抜きなのだろうか?」などと思っていると、いきなり切れたりする。一回明るくなって、また暗くなると、今度は、不思議の国のアリスの宣伝がはじまり、冗談のように今度は音が出ない。しかもまた途中で終わる。そして、なにやらぼやけた向こうの3Dアニメの宣伝が始まると、「あれ、これ3Dか?」とかなって……、それでまたいきなり切れる。

○このあたりで場内ざわざわして、映画館の職員の男性がまた出てきて「現在機器の不具合を……」と説明。俺はあまり映画館で映画を観ないのでよくわからないが、こういうトラブルはどの程度あるものなのだろうか。「こんな調子で3D大丈夫かしら」などという話し声もあちらこちらから。しばらく待つ。

○今度は映画館の女性の職員などもいて、スクリーンの横の方に経って申し訳なさそうにしていて、さらにヘッドセットでなにやらやりとりしている。最悪、映画館のおっさんとかが頭から青色のペンキをかぶって出てきて「こんにちは、アバターです」とかやって時間をもたせればいいのだろうけど、そういうことはしないようだ。結局、15分くらい経って、ようやく準備整ったか、「ご迷惑おかけしております、3Dの宣伝から上映いたします」などと。いや、もう本編から流せよ、という気もするが、しかし、ちょっと3Dの宣伝見たいのも事実ではあった。

○そんなこんなで、ようやく3Dアニメの宣伝を見ることになった。な、なるほど、こういう感じ。へえ。ふーん。というか。ちなみに、俺はメガネの人なのでメガネの上からメガネなのだけれども、まあなんだ、最初見たときは「これでメガネの上にメガネできんの?」と思ったけど、まあかけてみたら大丈夫という具合。あと、マスクしてても、俺はあんまり耳とか痛くならなかった。ただ、これは人によりけりのよう。

○で、ようやく『アバター』本編開始。と、「な、なんと!」と。なんだ、さっきのアニメとはぜんぜん違うぞ、と。なんというか、CGのアニメの延長線の3Dとは、なんか違うんだ。この奧行き、みたいな。それで、なんだ、なんというのか、役者の身体というか、腕の太さとか、そのあたりの迫力というか、「あ、こんなに大きい感じなんだ」というような。うーん、なんというのだろう、よくわかんないけど、存在感? そう感じた。それが第一感。

○それでSFなので宇宙船とか出てくるし、宇宙船の中とか映るし、とりあえずSFファンとしては楽しい。軍用メカとかも出てきて、なんかわからんが、このへんで元は取ったというようなところ、というと失礼かもしらんが。それでまあ、なんというのだろうか、この惑星パンドラの中とかも、「あ、ファイナルファンタジーだ!」というような感じで。RPG、とくにファイファンで見てきた世界じゃん、というような。あ、ちなみにこの「ファイナルファンタージだ!」には悪い意味は込められていないので。あと、同行のラブプラスでない彼女の人は、「栗本薫に見せたかった」と、『グインサーガ』をリアルタイムに読みつづけてきたファンとしての意見を表明した。

○吹き替えで見たのは正解だったと思う。ナヴィ人の言葉は字幕になるんだけれども、見るの面倒くさい。そりゃなんか、海兵隊言葉とかは英語で聞いた方が迫力あるんだろうけどさ、まあしかしな。つーか、だいたいいつもちょっと迷うんだよ、どうせ字幕頼みの語学力っつーか、英語力で、そんだったら吹き替えの方がいいのでは? とか。でも、たとえば『イングロリアス・バスターズ』なんかは、吹き替えでは魅力半減とかもっと減るような、そんなシーンもあるし、このあたりは使い分けだろうか、な。

○ストーリーの方は……、まあなんというのだろう、ネタバレはしたくないが、べつにその、なんかその、バレてるといったらなんだけれども、だいたい想像の中で進んで行くので、安心して見ていていいというか。大きく「え、まさか!」というようなことは、少なくとも俺にはなかった。ただ、だからといってつまらんかというと、すごく変なことになって破綻するよりはマシだろうとは思う。

○ナヴィ人のルックスなんだけれども、まあ、たぶん、主人公にとっても、観客にとっても「最初気持ち悪く見えていたのが、だんだん親しみ深く見えてくる」というような狙いがあったのだろうと思う。ただね、なんだね、俺はね、『FF12』のフランとか『ドミニオン』のアンナプーマとユニプーマとか『トップ2』のノノとか好きなわけで、体型的には最初からどんと来いに近いんだね。でもあれだ、やっぱり顔は見なれてくるよな。

○ナヴィ人の尻尾のコネクタというのかな、あれはおもしろいな。あれはいい。それで、ほかの生物と交感でいるのもいい。こうなると、こんな仕組みの惑星を誰が作ったのか? というような、関係ないSF妄想もできそうだ。

○見なれてくるといえば、最初「おおっ!」と思った3D、だんだん慣れてくる。慣れてきて、「今、自分は3D映像で見てるんだろうか」というような気になって、片目閉じてみたり、ちょっとメガネずらしたりはしてみる。メガネずらすと、やけに明るく見えるんだけれども、これはメガネ考慮した上での色調なんだろうかとか、まあはっきりいってメガネかけていて「暗い」とは思わなかったんだけれども。まあ、しかし、贅沢な話といえばそんな感じだろうか。

○というわけで、3Dというのは当たり前じゃないか、というような感じにもなってくる。そして、今後はこの手の映画、みんな3Dになるんじゃないか、やんなきゃいけないんじゃないかというくらいの気にはなる。でもね、なんかね、このね、メガネをかけさせられるというのは、ちょっと21世紀のものではない。前世紀的だ。スクリーンが3Dに見えるドラッグを飲むとか、電脳に直接干渉して3Dに見せるとか、よく見たら青いペンキかぶった映画館のおっさんだったとか、それ全部だとか、いろいろな方向を模索してもらいたい。


○俺個人に関しては、メガネ疲れはなかった。ただ、長いよやっぱり。尻が痛くなった。あと、見終えたあと、急激に首が痛くなった。まあ、このあたりは3Dとは関係なく起こるのだけれども。で、終わったあと、どこか削れなかったか? という話になったが、このストーリーとしては、とくに無駄なとこはないんじゃないのか、というような結論にいたった。なんかまあ、削ったらちょっと話変わるかもな、みたいな。

海兵隊の大佐なんだけれども、いい具合にオヤジ軍人っぷり、超人っぷりを発揮していてよかった。だいたいこれが、こないだまでなら主役で、圧倒的不利なところから単体で敵を潰滅させるんだろう。というか、たぶんこのおっさん、そういう経歴の持ち主だね。でもまあ、ひねくれちゃったんだよ。

○つーか、なんかわかんないけど、もっと高々度から飽和攻撃しかけりゃよかったんじゃね? だいたい、生身の歩兵や人型兵器じゃ森の生き物たちに負けるってわかってるのに、地上戦やらされる兵士たちってかわいそうじゃない? なんかあの、惑星ネットワークシステムとか働かなくても、偶然会っただけでフルボッコになるってわかってんじゃん。大丈夫か海兵隊。ふざけんな、声を出せ、貴様らのケツは海兵隊のものだ!

○森の生き物とか見て、その前の晩に見た『もののけ姫』とか思い出した。いや、しかし、森の生き物に負ける兵器というか、技術力というか、科学力ってどうよ? だいたい、あの未来なら、脚くらいサクッと治せんだろ。なんか、義体とかでもいいし、キャタピラとかつけたりしてもいいし。そのあたり、よくわからん。あと、だいたい宇宙に人類が進出したという話では、だいたいそれなりに地球の中の方はおさまっていて、地球連邦とか地球帝国とかになってんだろ、とか。それが、まだアメリカは少なくともあって、どっかの紛争に介入して、ジャングルでドンパチやってるあたりが、ややわからん。まあ、いいけど。

○勝手な想像だけれども、日本のアニメやなんかだったら、たぶん惑星脳がもっと具体的に出てきて、インナースペースで主人公と話したりするね。なんかこう、精神世界的な、脳内世界的な、電脳的な。でも、そのあたりにグダグダ入り込まず(べつに入ってもおもしろいかもしんないけど)、ふざけんな、クソ地獄に堕としてやる! みたいな、そういう方向でサクッといったのは、まあ俺はよかったと思うし。

○というか、3D映画の歴史というか、『アバター』が初のそういう映画かどうかというのはよくわかんないんだけれども(俺、昔、春のドラえもん映画祭りみたいなので、飛び出すの見たことある。あと、同行者は昔、『13日の金曜日』的ななにかで見たことがあるという。ま、それらとは桁が違うが)、もし今後こういう映画ばっかりになっても、最初のなにかでここまでやってみせたぜ、というような、そんなところのある映画のように思えた。正直、今回も、3Dおさえておくか、くらいの気持ちで行ったんだけれども、しかし、ここまでやっていたか、という思いがした。あ、ストーリーっつうか、そのあたりではなく、いや、ストーリー悪いわけじゃないんだけれども、なんというのだろう、あらゆる面の作り込みというか。森の生き物だけじゃなく、あの植物とかどうなのよ? みたいな。

○あと、シガニー・ウィーバーの胸とか気になったよね。

○上映が終わると、出口のところで背広を着た映画館の従業員とかが並んで、「上映時間が遅れて大変申し訳ありませんでした」と連呼していた。ご苦労さん、たぶんみんなそれほど覚えてないと思うけど。ただ、あれだ、やっぱり500円、いや、300円引き券でもくれたらよかったかも。

○というわけで、今年は月に1本くらい映画館で映画観ようとかは思ってる。思ってるだけなので、どうなるんだかはわかんないけど。おしまい。

追記______________________
 あとから、もうちょっと詳しい3Dについての記事を見つけた。こちら→http://d.hatena.ne.jp/madogiwa2/20100102。もちろん個人差はあると思うが、俺は上に書いたようにメガネ+メガネでもそれほど苦にならなかった。ただ、軽いのに越したことはないし、スポーツサングラスみたいなクリップタイプとかにできんもんだろか。メカ部分がむずかしいか。

Real D以外ではメガネ拭きを持参した方がベター.もっともXpanDもそうだがメガネの部分は触れてはいけないことになっているので圧力をかけずに拭くしかない.洗浄が完全なケースは経験的にあまり見た覚えがない.

http://d.hatena.ne.jp/madogiwa2/20100102

 ところで、俺の行ったところでは"XpanDもそうだがメガネの部分は触れてはいけないことになっている"という説明はいっさいなく、みんながしがしハンカチで拭いてた。ただ、「3Dに見えない場合はすぐに係員に言って」みたいな注意は出てきたっけ。あ、そうか、時間が遅れてるのにわざわざ3Dの宣伝流したのは、そのためか?