第77回日本ダービー結果

 フジテレビの煽り映像。「今年のレースが終わったら、あなたはきっとこう言うだろう、今年のダービー、凄かったな、と」。
 俺はこう言おう、ある意味、凄かった……かな、と。
 最後のゴール前は、まるで夢のようだった。夢というか幻のようだった。俺はペルーサを見ていた。ふと内をみて、またペルーサを見て、それを繰り返していたら、エイシンフラッシュが抜け出していた。もう、すごく抜け出していた。俺は何が起こっているのかわからず、うっかり馬から落ちそうになった。
 そもそも、ペルーサの出が悪いところから嫌な予感はしていた。道中は、アリゼオにシャインが絡んで、ハイペースに、ハイペースにと祈っていた。そんなことになりはしなかった。団子状態の超スロー。それでもひとまくりにしてくれ、ペルーサ、できないか、ペルーサ
 二着は、ローズキングダム
 ローズキングダム

 俺は、ペルーサについでローズキングダムが気になっていた。亀谷も推していた。人気もなさすぎた。だから俺は、ローズキングダム単勝と、馬連を少し押さえたのだった。
 「少し」の中に、エイシンフラッシュは?
 俺はすぐにテレビを二画面モードにして、ブラウザを漁って、IPATの照会メニューを呼び出した。あった。
 ……なんだこれは? 俺はペルーサが勝つと、そう意気込んでダービーに望んだ。それなのに、なにか浮気馬券を買って万馬券をひっかけた。それも、もうひとつの本命が勝ったわけでもなく、二着の馬連。超うれしい。いや、超はいらない。うれしい。でも、なにかひっかかる。なにかこう、こうなのかと思う。ペルーサと心中しなかった俺という人間のあり方。リスクヘッジばかりの人生、大きく得るものは少ない。
 もちろん、エイシンフラッシュを所有したオーナー、仕上げた調教師、スタッフ、騎手の内田博幸、みな立派な勝者である。おめでとう、ダービーだ、文句なしの勝者だ!