スマートな短編SFの読後感〜『月に囚われた男』〜

月に囚(とら)われた男 [Blu-ray]
 あんまりSF映画とか観てないねって気になったんでね、ちょっとどっかで評価されていて、こないだ買った雑誌でもそこそこ得点していたこのあたりに行ってみたというわけ。
 それでね、俺ね、これってまったく予備知識なく、だいたいSFジャンルということと、タイトルしか知らなかったのね。だから、監督がどんなやつだとか(デヴィッド・ボウイの息子だって。もし映画見終えたあとに「さて、だれの息子でしょう?」ってクイズ出されたとしても、正解に辿りつくまで時間がかかるだろうね)、タイトルの意味だとか、舞台が過去なのか、現在なのか、未来なのか、そのあたりもさっぱり知らないで観たのね。
 まあ、そんなわけで、そのあたりのことかも伏せて感想書くと、あんまり書けることも少ないのだけれどもね、なかなかよかった。佳作という感じ。質のいい短編SFを読んだ感じ。傑作、大作、名作とか、そういうんじゃないんだけれどもね、おお、よかったねっていうかね。いや、ちゃんと「このさきどうなるんだろう?」って、どきどきできるしね。
 しかし、なんかこう、画面のテイストが好きだね。まんま『2001年宇宙の旅』じゃん、といえるかどうかわからないけれども、落ち着いていてシック、あんまりディジタル風じゃなくて、こうアナログなところもあったね。HAL9000みたいなやつも出てきて、声がケヴィン・スペイシーだったりして、それもデザインがまんま工業ロボットっぽくてね、それで、なんかコーヒーカップ置くところがあって、そこんところが汚れてるのがよかったね。こういうテイストで、P・K・ディックの最後の方のあれとかの導入部とかいいんじゃねえのとかね。
 そう、それで、話の内容の方も、どんな類のSFだとかは言わないけれども、そうだな、たとえば『ドラえもん』のSFっぽさのなかで、俺の一番好きなやつとかを思い出したりして、まあそのあたりの組み合わせがよくてね。なんだろう、SF映画というと、最近だと『アバター』とか、あんな大規模なのもあるんだけれども、こういうミニマムな、密室劇のような、そういうのもあるじゃん、っって思うよね。日本映画も、『ヤマト』もいいけど、こういうのはどうなんだろうね。いや、日本人が日本人を見ると、SFらしさが失われるかもしれないけれどもね。まあ、でも、こんなんありじゃんって。いやね、しかし、よく作られているし、役者の演技力みたいなものも超しっかりしていないとやりきれないところもあると思うんだけれども、それでもひとつどうですかって、いや、誰に言ってんだかわかんないんだけれどね。それじゃあね。