NHK杯将棋トーナメントが2週続けておもしろかった

 将棋熱が高まってるとはいえ、することといえばNHK杯を見るくらいのこと。2週分録画したのをまとめて見たのでメモ。

屋敷伸之九段vs北島忠雄六段

 奨励会入会から四段昇段までわずか三年、さらにプロ入りから一年十ヶ月でタイトル獲得の最年少記録を打ち立てた屋敷登場。対する北島理事(ダブルピースしてるフリーダム理事長の右下)は奨励会で十五年でようやくプロ入りという遅咲きの棋士。棋界七不思議の一つだった(っけ?)屋敷の順位戦足踏みも今やA級入りして、屋敷有利みたいな感じだったんだろうけど、まあともかく対照的な棋士同士の対決といえるだろうか。
 ……だろうけれども、見た目の印象通りの穏和で律儀、女の子が多い高校に通い、テニスをしていて優雅だったという(解説の中川大輔語る)北島理事が勝利。屋敷はこのところかっちりした棋風になったというが、なんか昔の忍者流のような飛び道具使いで攻めていたように見えたけど(俺、将棋のことよく知らないので)、きっちりしのぎきった。4六歩がゆるかったのか、プロっぽい手だったのかとかよくわかんない。そのあとの7五歩打ちだったか、今までの優雅な手つきとは違って、慌てて打ち込んだようなあれは印象的だった。
 北島さんの次の対戦相手は怪物・糸谷哲郎。これも対照的な対決になるだろうか。

佐藤康光九段vs永瀬拓矢四段

 そしてこれはまた対照的な対決。永世タイトル持ちの元名人というか、説明不要のトップクラスに、デビューしたての四段という。ただ、将棋というのはなんだ、伸び盛りの若手の方が高齢高段者よりずっと強いということは間々あるわけなんだけれども、いや、現状ノンタイトルとはいえ、‘一秒に一億手と三手読む男’はまだまだ若いんじゃねえの、とも(はっきりいって、最近の棋界ぜんぜん知らんですが)。
 でも、これ、永瀬君(名字も名前もジャニーズみてえだな)、おもしろかったね。解説の鈴木大介が棋風をよく知っているようでいろいろ解説してたんだけども、いや、特徴的。曰く、これほど将棋の勉強をしている人間はいないだとか、振り飛車一本だとか、受け八割、攻め二割だとか、序盤でうまくいかなければ、千日手に持ちこんでまた得意の序盤戦に持ちこむだとか、千日手は若い方が勝つ、と言っていたとか……。
 というわけで、いきなり千日手指し直し。それでそれで、さらに二局目も千日手で指し直し(NHK杯初らしい)。どっちも永瀬優位っぽいところで、なんというのか、モテ光上等、ぶっつぶしてやんよみたいな感じもあって、いや、ちがうか、なんかこう、この一局をものにしてやろうって意志の強さみてえのが。序盤とかしばらく、研究済みだぜってびしびし指すのもよかった。あと、鈴木大介が得意戦型について早見えしすぎでついていけなかった(時間的な問題もあるか)。
 でもって、指し直し三局目で見事に新鋭四段が佐藤康光撃破。終盤は激辛流なのか、なんだかちょっと慎重になりすぎてグダグダになったのかわからんが(素人目に大差でも、この辺でモタモタしてると一発でひっくり返るのがプロなのだし)、ともかく勝ちきった。
 いや、なんかおもしれえもん見たわ。しかし、なんとなく将棋を見ていたころの名人が三局連続で負けたみたいなところを目の当たりにして、将棋怖いって思ったわ。で、永瀬君の次の相手は広瀬章人王位。試練の道だが、また千日手地獄に引きずり込んでほしいと思う。今、Wikipediaで見たら永瀬四段は横浜市立間門小学校出身だとかで、今俺が住んでるところの近所だし。あんまり関係ないか。おしまい。