さて、帰るか。


 一人になったときの過剰集中というのは武器だが、使い道が限られている。とはいえ、他人になりきって6,000字をすぐに書けとか、ベースを直しつつのコーディングだとか、わりと使えないわけでもない。成果物の質はしらないが。
 心身相互とはよくいったもので、身から心へのアプローチというものは馬鹿にできない。中にはまがい物もあるだろうが、そればかりではない。ジョギングという身から心に大きな影響(自殺願望の固定化、強迫性障害)を身を以て体験した俺が言うのだから間違いない。君、キチガイになりたければジョギングしたまえ。
 アマリール、もといアルマールという食べ物を処方されて食べている。クレイジーケンバンドにシャリマールって曲があったと思うが関係ない。高血圧、狭心症用の食べ物で、血圧を降下させる。「処方されている向精神薬じゃ動悸がおさまらない」と言ったら出てきた。これなどは、脳ではなく心臓だか血管だかに作用して動悸を抑えて、心の落ち着きをもたらそうという発想、身から心へだ。製薬会社のパンフレットもちらりと見せられたが、「内気な性格が治る」みたいなことまで書いてあったよう思う。
 この発想は嫌いではない。だいたい俺が感じる不安や瞋恚がどこで起きているかといえば、胸や腹だ。すべては脳内伝達物質経由というが、ドキドキするのも、ズシリと重い気持ちになるのも、ついカッとなるのも腹の方だ。さんざん言い尽くされた話だろうが、それがハートであって、日本人のいうところの「腹」というやつなんだろう。そして、俺は俺の心からよいことを感じた覚えがないので、早く破壊したい。この心に悪影響しかしない身の動悸を、動揺を止めて、大安心の人になりたい。ピザ屋の彼女になってみたい。
 ところで、『エウレカセブン』をしばらく前に3巻まで見て、せっかくの続編がはじまるのだからとゲオに行ってみたら、5巻からしかなかった。シンシア・レーン、もといアネモネの活躍が今のところ少なくて不満だ。しかし、あれほどの職人がトルクレンチを必要とするのだろうか? そして、トルクレンチを放り投げるのだろうか? 俺にはよくわからなかった。ちなみに俺は、トルクレンチをドイツあたりから個人輸入したが、一度しか使っていない。バールのようなものでなく、トルクレンチのようなものでたれかの頭を殴打したら、「なぜトルクレンチで?」みたいな話になるのだろうか。よくわからない。