さて、帰るか。


 横浜市中区はじまったな寿町系最強のプリントアウト系ブロガーにして、三千世界の烏の善知識たるあまりに尊い俺(尊すぎて赤信号はすべて青くなり、次第に虹色になるくらい)が思うに、この現世というものは、ラーメンが獣臭いものに強いられているんだ! そして、個々人がどこまで改めるまで入れられるかという、闘争絵図なのである。
 なぜなら俺は見た。白いスーツを着た元ヤクザ風だがじっさいにはヤクザというよりチンピラっぽい程度だったであろう寿系のじいさんが、ミニ・ストップの手作りおにぎりのおかか味のないことについて、店員のおばちゃんに怒鳴りつけるのを。そして、そのじいさんが手慣れた様子であしらわれ(「なにが売れちゃうのかわからないのよねー。電話してくれたら、取り置きしておいたんだけど」)、鮭おにぎりを買って帰るのを。帰り際にじいさんは大声で言った。
 「これからヨドバシカメラにテレビを買いに行こうと思ってたんだけど、雨が降ってらあな!」
 あんたはテレビを手で持って帰ろうというのか?
 寿町は労働者の街ではない。福祉の街である。朝歩けば車椅子で押される人たちをよく見かける。しかし、これが深夜だとどうだろうか。彼らは自力で移動する。自力で移動するのに歩道を選ばぬ。歩道には傾斜も段差も違法駐車の自転車もあり、また通行人も多いからだ。従って彼らは車道を走る。その方がスムーズに決まっているのだ。目の前から逆走してくる車椅子に対して、「まあ、いいか」とぶっつける自動車運転手というのはあまり多くないのだ。自転車についても同じだ。車道なんて怖くない。自動車に乗っている人間の方が、失うものが大きい確率が高い。いいよ、ひっかけてみろよ、俺はさいきんすね毛剃ってないから、アスファルトに皮と肉持って行かれるぜ。
 なにそれ、俺、痛いの嫌いだし、すね毛剃ろう。ゴールデンウィークは、身体中のむだ毛を処理して、すごそう。もう敗戦処理はまっぴら御免だ。もっと輝かしい、黄金の世界に、つるっつるの体と、平安な心、動悸はおさまり、触れるものはすべて尊い紫色の煙になる。
 君の目の前には三つの箱がある。どれを選んでも結果は同じである。きびすを返したところで、君、そのドアにノブはないぜ。引き戸なんだ。だから一発で仕留めてくれ、ただの一発だ。わかるな?