チャールズ・ブコウスキー『パルプ』再読

パルプ (新潮文庫) セリーヌを、といっても一冊だけだが読んでみたので、ブコウスキーの『パルプ』を引っ張りだそうとしても出てこない。しょうがないのでハリウッド・ナンバーワンの探偵ニック・ビレーンに電話でもしようかと思ったが、『パルプ』には「孤独? 憂鬱? 元気を出して。当社の美女にお電話を。みんなあなたをお待ちしています。お支払いはマスターカード、ビザカードで。キティ、フランシー、ビアンカとお話ください。電話は……」の番号しか載ってない。しかも、これをまるまる引用した小説が、どこのどいつのもんだったかも思い出せない。たぶんセリーヌじゃあないだろう。
 そういうわけで、おれは『パルプ』を横浜中央図書館(横浜市西区老松町1)で借りたんだ。検索して出てきたやつが書庫に入っていて、そいつが出てくるまでのあいだ文庫棚を見ていたら、文庫版がありやがった。まあ、おれが持ってるはずのは文庫だし、悪くないだろう。大義名分みたいななにかだ。
 まあそんでもって、そんなに長くはない本だ、一気に読んでみて、ああ、まったくこれはおれのポケットに入っていたような本だと、そう思ったんだった。

 ターフ・クラブの前を通った。なかをのぞいてみた。年寄り連中が何人かいるだけだ。みんな金を持っている。どうやって儲けたんだろう。だいたい人間、どれくらい金が要るんだ? そもそもなんの意味がある。あの世に行くときはみんな一文なしだし、たいていは生きているときからそうだ。弱っていくしかないゲーム。朝、靴をはけるだけでも勝利だ。

 そう、おれは、朝、靴をはくときに、朝、靴をはけるだけでも勝利だって思ったりしてんだ。ほんとうはそんな風に思ってなくても、そんな風にほんとうに思ってるんだ。
 まあ、あんまりつけくわえることはない。これはクソすばらしい小説だ。主人公はだいたい酒を飲んでいるか、競馬をしているか、金玉をいじってるかしてないが、本物なんだぜ、最後の本物だ。まったく、掛け値なしにさ。

☆彡

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 ちょっとよくわかんないけど、『パルプ』は体裁とか違うけど、この系列? みてえな気はするんだ。まあ、あとは詩と短編か。それぞれの感想はこの日記の中のどっかにあるかもしれないけど、おれもう眠いから。

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