マクドナルド12/16

酔っぱらいの反吐が乾いて目に見えない粉になってなにかのウイルスを運んでいるかもしれない昼、おれはマクドナルドに向かって歩く。冬は日の差す角度がすぐに変わる。今朝、駐車場で見たブロック塀の欠片とそれが作り出した影のことを知っているか。おれはマクドナルドに向かって歩く。メニュープレートが復活したという話を確かめるために。2日分の昼食代を払ってまで。酔っぱらいの反吐が乾いて目に見えない粉になってなにかのウイルスを運んでいるかもしれない昼を。この寒い冬を。

おれはマクドナルドにつく。メニュープレートはあった。紙のクーポンを二枚。「ポテトはL」で。塩を抜くのを忘れる。二年くらい前から、おれはマクドナルドのポテトが塩っ辛くてダメだ。これも加齢によるものか知らない。昼どき、それほど混んでいない。ただ、カウンターの向こうは慌ただしい。しばらく待つ。マクドナルドの店員というよりは、カナダの森のなにかの番人をしているような男から、紙袋を受け取る。酔っぱらいの反吐が乾いて目に見えない粉になってなにかのウイルスを運んでいるかもしれない道を、おれはマスクもつけずに歩く。日の当たるところ、日の影になるところ。こまめな観察が必要だ。

おれが最後にマクドナルドのなにかを昼食にしたのは二年くらい前のことだ。生まれ変わったチキンフィレオを一口かじる。たしかに変わったように思える。おれは、間違ってマッシュポテトが入ってるんじゃないかと思うた。それくらい柔らかいなにかがベーコンや玉ねぎと一緒にパンに挟まれていた。案の定、ポテトは塩辛すぎた。マクドナルドを食うと体全体が油っぽくなったように感じる。パサパサしている冬にはちょうどいいいのかどうかおれは知らない。

ある声優がラジオで「小学校で習うようなことはたいてい間違っていない」と言っていた。うがい、手洗い。とくに昨夜の酔っぱらいの反吐が乾いて目に見えない粉になってなにかのウイルスを運んでいるかもしれない冬の日には。冬の日は日差しの角度がすぐに変わる。おれは心底冷えていて、マスクもしないで冬の道を歩いて。