煉獄の後に福音あり〜劇場版ストライクウィッチーズライブイベント『みんながいたからデキること!』参戦〜

 すばらしいストライクウィッチーズのライブイベントに参戦してきた。鑑賞とか参加とかではなく「参戦」。イベント事によく使われる言い回しではあるが、なるほど言い得て妙、そう実感した。

煉獄編

承前:-来年の1月13日までは生きねばならんか…… - 関内関外日記(跡地)
 まずおれは、「せっかく抽選に参加する権利をくれたのだから申し込んでみるだけ申し込んでみるか」という思いでチケット購入を申し込んだ。正直に言っておこう。当たるとは思っていたなかったのだ。そもそもおれはアニメを見始めてから二年少々、イベント事などに参加どころか申し込んだことすらない。だから、勝手に「こういうのは余程のことがないかぎり行けないもの」と思い込んでいたのである。言いたくはないが、夜の部は当日券もあったみたいだ。
 さて、おれは上の勝手な想像で物販について考えたりしているが、まあアニメイベントの物販がくるりのライブの物販ほど生易しいものじゃないというのは、事前に察することはできた。いよいよ数日前という段階になってだが。ともかく、物販は物販で昼の部、夜の部別々に販売時間があるという。整理券を配ることもあるという。ライブ限定品や先行販売品などもあるという。徹夜をするなというレベルという。
 ……さて、どうしたものか。商品リストを見ていて、おれには欲しいものが三つできた。一つは「島田フミカネセット」というもので、内容は「コメンタリーブック、スノードーム、iphone5シール」だ。おれの目的ははっきり言って「コメンタリーブック」だ。ここ(なぜ『劇場版ストライクウィッチーズ』のような作品が生まれてしまうのか? - 関内関外日記(跡地))にも書いた通り、おれはコメンタリー目的でよく知らない雑誌を三冊買って、「続きはコミケかよ!」とか思ったりしたくらいであって(思えばこれが角川の洗礼かジャブだったか)、人混み苦手のおれはコミケなど行くこともなく、「いずれ機会があれば……」と思っていたところだった。まあ、今回残念ながら不参加の沢城みゆき田中理恵による501st JFW.OA(沢城が美しい田中の罵り声を出す表情をアフレコ現場で見られたのは役得だったなどと語っていて面白かった。乳酸菌か?)でどれかの雑誌の誌上通販で手に入るということは知ったが、この機会はちょうどいい! と。二つ目は「翼端灯セット カールスラント」もしくは「スオムス」であり、おれもイベントで光る棒を振りたいという思いからである。べつにどこかで売っているものではあろうが、どうせなら公式、どうせならトートバッグ付き、だ。最後に「マフラータオル」。ライブといえばこういうのだし、安いし、と。
 というわけで、おれには物販の目標はあった。だが、どのくらいの時間に行けばいいか判断しかねた。なにせ夜の部である。夜の部は夜の部でグッズが確保されているという。昼で売り切れということはないのだ。あまり早く行ったところでどうする? そんなに無理しなくても京浜東北りんかい線で50分くらい、行けることは行ける。ただ、行ったところで、「夜の部に今来られても困る」みたいなことになったら、時間の無駄、というところだ。そういうわけで、「コメンタリーブックも通販があるし、なりゆきで」という具合で適当に目を覚まし、適当に出かけた。

 東京テレポートに着いたのは12時少し前だったろうか。ZEPPの方に行くと行列ができている。スタッフに「夜の部の物販は?」という旨たずねると、「整理券を配るので、この列の先、右に曲がって続いてると思いますからそこに並んで下さい」とのこと。そしておれは、上の写真のような景色を左手に、ずっとずっと長い行列の最後尾を目指した。「ここが最後尾か」とおもいきや、駐車場の出入り口に置かれた「ここは最後尾ではありません」の案内だったりもした。ただ、おれはこんなに長い行列を見ながら、これがみなストライクウィッチーズのファンなのだと思うと、うれしくて口元がにやけてくるようになったりもした。まあ、上のような景色をずっと見るはめになってからは、その表情も消え失せたが。そう、最後尾に行って、スタッフに一応、夜の部の物販の整理券はここで間違いないかたずねて、間違いと確かめてから……長かった。
 たまにしか進まない列。2chなど見れば物販の手際で渋滞ができているようなことも書かれている。やがて、年長のスタッフがハンドマイク片手にやってきて告げるのは「◯◯売り切れました」の宣告。これがたまにやってきては、列に並ぶ人々に失意をもたらす。おれもこういうイベントは初めてだが、「え、タオルとかなくなっちゃうの?」という驚きはあった。それで、並んでいた人がそのスタッフに委細たずねると、タオルマフラーとかの数量制限が一人につき十枚で、意外に多く買う人があって申し訳ない云々。もちろん、おれが直接聞いたわけでもないし、聞こえてきたていどのことだ。ただ、後ろのほうで一人ポツリと「一人一枚にしておけよ」というつぶやきがあって、おれもそう思った。そして、おれのお目当ての「フミカネセット」も売り切れの宣告。なかには物販に用なしと列を離れる人もぽつりぽつりと現れる。というか、時間的に昼の部始まっちゃうんじゃないの? というような。
 それでも、おれはといえば「夜の部」の人間なので、直接の死の宣告にはあたらない。はっきり言って早いか遅いか見当もつかんが、まだ希望はある……。

 で、受け取った物販整理券530番。この百の位の5が「夜の部」という意味なんてことはありえないわけで(なにせ箱に対してあの行列は長すぎる! 相当に「夜の部」物販目的の人がいたのだろう。おれもだが)、「あー」という気になった。「あー」だ。ただ、もとの予定時刻よりずいぶん早く着いてしまったのを列に並ぶという行為で埋められたのは悪くなかったのかもしれないが。いや、だめだ、なにが駄目って、腰がだ。立って微妙な速度で動くというのは、一番腰にくる、背中にくる。これは厳しかった。ゆりかもめの駅近くに停まっていたストライクウィッチーズ仕様のロードバイクなど見て、「シートポストにベルをつけるというのもあるのか」などと気を紛らわせようとも、紛れる痛みではない(あと、おれはナビつけたりしてないし、方位磁針付きのベルがハンドル付近にあると安心するのでその必要もないが。というか、おれのコルナゴ(笑)も徹底的にストライクウィッチーズ仕様にすれば盗難の危険性も経るんじゃ……って、もうおれ、自転車も競馬もやめたのだっけ)。
 まあいい、ともかくおれは整理券を手に入れてつかの間自由も手に入れた。おれはトイレを求めた。用を足すのは二の次で、肩、腰、背中にフェルビナクを塗るために!



 というわけで、ビーナスフォートの方へ。正月にみなとみらいのクイーンズスクエアで見かけた屋台の帽子屋などもあって、こういうところから実店舗に持っていくのが流れなのだろうかなどと、その店の帽子をかぶりつつ思ったりし。あと、このあたり、家族連れ、カップル、外国人、そしてやけにコスプレと思しき人が多かった。なにかべつのイベントがあったのか、あるいはいつもこうなのかは知らない。東京のことはよくしらない。


 それでまあ、やっぱり観覧車でかくていいよなとか思ってたら、「昼の部」の入場が始まっていた。チケット番号順だ。おれはA-23とかいう若い番号を持っているので、箱のなかのコインロッカーを使えるだろう。その点は心配いらない。ちょっと小腹が空いたのでカロリーメイトなど食いながらそう思う。わずかな水で流し込む。おれは慎重派なんだよ。

 して、「夜の部」の物販の待機は……と、入場の列とはべつの集団が物販のテントらしきものの近くに見えたので行ってみる。すると、すぐに「1から100までの方お並びください」みたいな声が。おれの戦闘力は530であって、こんなところにいてはいけない。海岸線の方が待機所らしい。行ってみると、300までとそれ以降という感じでさらにわけられた。呼び出しは1番ずつだ。そしてまた、おれはあの風景の場所に戻った……。しかも今度は「◯◯売り切れました」が我がことなのである。先程は太陽もあって暖かかったが、だんだんと寒くなってくる。おそろしい。おそろしいままに、番号順にならび、「◯◯売り切れです」の声を聞く……。そして待つ、ひたすら並んで待つ。おれの腰は痛い。前に回りこんで肋の下あたりまで痛くなる。
 記憶は定かではないが……テント近くまで来たときだったか、「フミカネセット売り切れ」を宣告される。これは痛恨。配られた注文書なるものに購入数を記入する仕組みなのだが、限定1人1個以外は10個までってのは、ちょっとどうかね、などと思う。おれは当初の予定通りライト(カールスラントのにした。バッグもエーリカのワッペンつけとるし。つーか200over生で聴いてみたかったな。いや、やる予定あったか知らんが)とタオルマフラーに「1」の数字を書き込む。ほか、抱きまくらカバーとかはさすがに高いし、持て余しそうだし、他で買えるものをわざわざというのもあるし、Blu-rayとかCDは持ってるじゃん! 特典のクリアファイルのためにもう1枚ってのはないよな、とか。
 ……と思ってたら、無残にも目の前で「タオルマフラー」にSOLD OUT、ウェカピポ。見てみれば、ブックカバーも全滅している。よくわからないが、翼端灯だけというのも淋しいので、ミーナさんの蒔絵シールにチェックを入れた。というか、翼端灯おれのところまで間に合え―! の一心だった。結果的に間に合った。おれはすごくうれしかったが、うれしさも中ぐらいなりというか、これでも翼端灯だめだった人がいる以上贅沢かもしれないが、これだけ並んでこれだけだったかという疲労感はすごかった。一応すぐに袋を開けて光るのをたしかめ、おれはまた自由になった。さっきとおなじビーナスフォートのさっきとおなじトイレに行って、さっき以上に念入りにフェルビナクを塗った。
 その帰りだ。ちょっと変なアクセサリー屋みたいんのがあって、店頭にピアスが並んでいた。冷やかしに眺めてみると、星形の模様のものが目に入った。501の五芒星のようだし、例の無線機みたいじゃね? と少々頭がおかしくなったおれは思い、値段を見ると1280円だったので買うことにした。レジで丁寧に包みながら、「全部ロスアンゼルス仕入れているんですよ」などと言われたが「はあ、そうですか」としか答えられなかった。おれはまたトイレに戻ると、包みをほどいてピアスを交換した。
 そしてまたおれは、ZEPPの戦場に戻った。一生縁の無いであろう、新しいクラウンの前を通りすぎて。

福音編

 5時ころだったろうか、「昼の部」を終えた人々が出てきている。「夜の部」の待機列もできている。いくら番号順とはいえ、変なところにいては折角の権利を失う。おれはしかるべき場所で待機した。
 5時30分。1番ずつ番号が呼ばれる。1番の人などはよほどの幸運者なのだろうが、1人呼び出されておれだったら恥ずかしいかもしれないなどと思う。おれの20数番のあたりでは5番刻みだったか10番刻みだったか。ともかく早い方だ。二列縦隊を作り、誘導の指示通りススメススメとのことだった。入り口で500円硬貨をメダルに替え、ゾロゾロと列に付き従う。付き従って最前列に誘導される。
 ……が、待ってくれ、おれは外のコインロッカーにコートやバッグをしまう暇もなかった。このまま最前線に行かされてはかなわん。オマハ・ビーチだ。複数人なら場所取りと分担などもできようが、おれはぼっちなので……。ちょうど左手にコインロッカーがあったので、スタッフに「入らないでコインロッカーいいですか」ときけば「どうぞ」とのこと。翼端灯(という名のLEDペンライト)、財布、iPhoneを以外のすべてを押し込んだ。次に念のためトイレに行って用を足し(慎重派なので)、ドリンクはホルダー付きのペットボトルの水と引き換えた。知らない間に脱水症状になっては面白くない。
 それで会場に戻ってみると、ほとんどのバーの前は埋まっていた。さて、どうするか。おれは当初、「こういうイベント自体初体験だし、一番後ろのほうで」と思っていたものだったが。が、「おれにとってこんな機会は二度とないのではないか?」という思いも頭にもたげてきて、結局まだ余裕のある、本当にガチっぽい猛者をバーで挟んだその後ろの後ろというか、まあ、ともかく端っこながら相当に前の方を選んだ。
 開演までは……やはり長く感じる。腰が痛い。かといって、座り込むのも行儀が悪そうだ。たまに財布とコインロッカーの鍵を確かめつつ、ともかく待つ。周りの会話なども聞こえてくる。番号もあって行列時はまったく静かなものだったが、ここに来て集合という人らも多そうだ。間近で「昼の部」の内容を語る人がいたのには辟易したが、まあこれといった新情報はなかったという情報くらいのことか。いや、むしろあるなら夜じゃないのか、というような期待もあり。あとは、場内に流れている音楽がぜんぶすばらしい『ストライクウィッチーズ』の秘め歌だったりしたんだが、エイラの「GOOD MORNING!!」が流れてきたらオタ芸? というほどではないのだろうけれども、ライトを光らせ、掛け声? を初めたので驚いた(先ほど猛者と記したのはこのため)。ただ、なんか楽しくなってきた。始まったら見よう見まねでライト振って、声出してやろうって。
 ……で、始まったわけだ。だれの何からはじまったとか、セトリがどうだったとか、そんなの他所で見てくれ。おれが覚えているのは……、ともかく一曲目からライト振ってみたら、むっちゃ腕が痛くなったことと、まわりの動きを参考にしていたら多少は腕さばきがまともになってきたことと、痛みも感じなくなってきたこと。そして、腰痛とか吹っ飛んだってことだった。もう、あの長い行列、買えなかった物販、ぜんぶ吹っ飛んだ!
 そしてなによりも、目の前に、アニメやラジオを通してしかしらない声優さんたちが出てくる! これはすごい! こんなことがあっていいのか! 福圓さんのあのちょっとだらしない笑い声が生で! 名塚佳織さんのきれいなこと! エイラーニャの中の人たちが実際にいちゃいちゃされたら、こっちももうどうしていいかわからんということ! そして、出演者全員に対して起こるコールの数々! どれも同じくらいの声量と愛に溢れた! おれにはそう感じられたのだ。「もっさん」コール、「お姉ちゃん」コール、「おっぱいコール」……。いや、最後のは静夏ちゃんに芳佳ちゃんを取られないように頑張る、なぜならばリーネには静夏にない武器がある的なことを名塚さんが言い出すものだから。まあそれはともかく、何の事情で遅れたかわからぬ劇場版秘め歌シリーズから、ここで新曲発表みたいになってもちゃんと盛り上がったし(「昼の部」参加の人もわりといたからか?)、正直、わりと厳しい状況下だったとは思うが、盛り上がりはすごかった。おれには比較対象がないが、ともかくそう思った。熱があった。
 それでもう、出演者たちの軽妙で息のあったやり取りには笑わずにはおられないし、お姉ちゃんがカールスラント組今日は一人ネタを言えば声援を送らずにはおられないし、歌と語り、あっという間に時間が過ぎていった。最後にはバースデーのサプライズ。消えていく赤いLEDは、さぞや美しかっただろう。終わった後の、二階関係者席との謎の万歳三唱も含めて、まったく充実して、あっという間の何時間かだった。何時間だったかよく覚えていないが。
 ともかく、おれはこういったライブは初めてだったけど、非常に満喫したといっていい。このステージを作り上げたすべての関係者に感謝したい。野川さくらさん病欠(なんだろう、大丈夫かしらん)の分、誰かシークレットとか、他の任務でなぁの人が最後に間に合え―ったとか、なにより3期は3期? というあたり気にはなったが、あの熱気が「つづく」の三文字に続くと信じたい。おれは、ともかく501の戦いは今のキャスト、そして高村監督の手で、第三期なり映画続編なりで決着してもらいたいと、そう思っている。そう信じている。そしてまた、このような機会があれば、翼端灯持ってかけつける。最後まで腕が悲鳴あげないように、誘導振で鍛えときますんで。それでは、また!




 ……いろいろな事情から無難さを選んだゆえに仕方ないとはいえ、すばらしいストライクウィッチーズ世界はすばらしい皇帝や王様が治める世界なんだよな。と、若干赤い左翼のおれは思ったりもするが、それはそれ、これはこれである。サーニャ労農赤軍である必要はない。それでいい。しかし、このLEDはどうしよう。ロードバイクのシートステイにでもつけるか? いや、一本ついてるからもういいや。つーか、乗らないし。

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ストライクウィッチーズ2 Blu-ray BOX

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……買え。