鎌倉の仏には顔がない


 資本主義とマリア様。

 ひたすら少数のもののために手紙を書く仕事。

 たけのこ泥棒で捕まった小作農は暖炉の前で、やはりたけのこ泥棒で捕まった小作農と素手で戦わせられるのだろう。どちらかが死ぬまで戦わさられるのだろう。土地の私有とマリア様。

 私は桜の花を見に来たのです。ロシアよ、左へ! ロッシーアー!

 すべてが始まっている横浜市から、まだ始まっていない鎌倉市へ。鎌倉の住人の78.2%は、まだ鎌倉が首都だと思っている。それを知っている人間が知らないふりをして知らない人間から搾取してできたのが鎌倉駅の2階建ての駅ビルである。

 すべての毛の生えた生き物のことを語ろう。「筋肉にも寄生虫とかいますから、ジビエとか簡単に言えないですよ。家畜とは違いますからね、根本的に」

 根本的に違う。

 コナラの芽出しを見てそう思う。そう思わない。ちょっと思う。思わない。思わないでもない。

 朽ち果てる木材、なかなか朽ち果てない擬木。どっちが好き? 嫌い?

 おまえみたいのは近所の壁に生えている。

 おまえはおまえで鬘のようだ。ビートルズか? ビートルズの影響か? ロッシーアー!

 カウベルを鳴らしながらマウンテンバイクで市民の森を走る人間がいたものだが、最近は両の脚で走る人が多い。土地の私有。土地の市有。

 高速道路の上を歩く。フェンスに穴が開いている。おれはその穴にレンズを突っ込む。

 マリア様、マリア様、マリア様! 穴を開けたやつがいる! え、初日は脳の中を作り変えるから、グラグラになるのは当たり前なんですか? 

 ロシアよ、前進!

 そして偏った京樽。「きょうたる」か「きょうだる」かで始まる殺し合い。

 そして、愛。木々の愛。風と木の詩

 この墓地のどこかに、私の父の父の骨があるらしい。

 車も持っていないし、そもそも興味がないので行ったことがない。話によると、静けさを好む人間だったから端っこを選んで作ったのに、造成拡張で四方を他の墓に囲まれてしまったらしい。死者は、たとえば日照権の裁判をするのだろうか。

 車も墓も自分には関係ない話だ。人並みに生きることはハードルが高すぎる。冬にはジャガイモを食っていた!



 鎌倉の仏には顔がない。




 おまえは大仏の顔を見たことがあるか? 見たような気になっているだけだ。あれはすごい勢いで立ち上がると、自分の頭を取り外すと、海の方にぶん投げたんだ。それでできたのが稲村ヶ崎だ。おれは鎌倉で育ったから間違いない。すごい音がしたから覚えている。そのあと、鎌倉のすべての仏から顔がなくなったんだ。

 ロッシーアー!

 そして、まったく整備されていない無名の遊歩道を下れば、絶賛整備中の永福寺跡地だ、AR越しに見れば往時の姿が見られる。見られなければ、おまえには大仏の顔が見えているということだ。マリア様!

 いい加減に気づくべきなにかがある。いや、なんにもないことに気づかなきゃいけないのに、そうしないふりをしている。偽りのふりをしていて、どこになにがあるのかわからなくなっている。

 この世に、唯一絶対なにか信頼できるものがあるとすれば、マルフクの看板だけだ。マルフク主義者よ!

 マルフク主義者のおれは、こんなことをするゴミクズみたいなやつ、嫌い!

 これはちょっと好き。

 これはちょっと気持ち悪い。

 これはちょっと……。夜の小学校に忍び込む。その時点で、すっかり訓練された犬どもに察知されている。十五歩くらい歩いたら、音もなく近づいてきたそいつらに、おれは声帯と脚の腱だけを一瞬にいて噛み切られる。翌朝、這いつくばって、のたうちまわって、苦しんでいるところに、お嬢様方が登校してくる。その目には草木の生えない方のシベリアの軽蔑がある。ただ、消費税くらいの憐れみもある。ただし、人間が人間に向ける憐れみでは決してない。……マリア様、ご褒美を! よろこんで!

 冷静になるべきだ。

 ほら、おれの出した手紙も届けられようとしている。おれはおれの出した手紙に追い抜かれる。アキレスもびっくりだ。ところでおれは、いつ、どこで、だれに手紙を出したのだろう。

 八幡宮の「八」がちょっとかわいいって知ってた?

 アー、イズ、ザット、ジャパニーズ、マフィア、アー、ヤクザ! ヤクザズ・サカヅキ・セレモニー? キタノ・フィルム! アイ・ノウ! 
 ノー、ザット、イズ、アー、ゼイ・アー・アベック、アンド、ケッコンシキ、ウィー・キャン・セレブレート・セレモニー、ユー・ノウ?

 銀杏の屋台が出ていて、「すぐに食べますか?」という問いに対して「はい」と答えると、目の前のでかい鍋でガーッと炒った上で、銀杏の殻を叩き潰すために作られたような道具で袋に入った銀杏の殻を叩き潰すのだ。叩き潰されすぎて食えなくなってるものもある。封筒と電子レンジでやったものより随分プリっとしていて美味しいと思ったが、袋に「新ギンナン」と書いてあって、われわれの知っているGinkgo bilobaとは違うのか。進化したのか? なんだってー? いや、そういうわけじゃないから。

 そしておれは湘南モノレールに乗らずに、横浜に帰ってきた。横浜は始まっているのでインターネットも完備されている。悪くない。このエントリーの一部はボリース・ピリニャークの『機械と狼』から取ったが、まだ読んでいないのでどんな内容か知らない。

>゜))彡>゜))彡
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……今日のは全部α65。
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……そして一番のお気に入りのMINOLTA AF100mm MACRO f2.8(旧式)という単焦点レンズ。