ビッグ・ポルノ・ストライクス・アゲイン

承前

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 このごろは夜の気温も高くなってきまして、窓など開ける機会も増えてきました。少しは涼しい風も入ってくるのですが、それと引き換えに隣のアパートのテレビの音も入ってくるという次第です。
 昨夜のことですが、わたしが晩ご飯を食べながら耳にしたのは、2種類のテレビの音でした。一つは野球中継で、楽天対巨人戦です。地上波での放送はないので、CSかなにかでしょう。もう一つはなにか騒々しいバラエティ番組です。これらが、同じくらいの大きさでこちらに聞こえてくるわけです。
 さて、二重なんてことはあったろうか、などと食後の読書(めっぽう面白い本を読んでいるのですよ!)に入ったのですが、いきなり騒々しいバラエティの方が女性の喘ぎ声になったのだから驚いた! はじめは犬だか猫だかのさかり声かと思ったら、いや、思おうとしたのですが、エロビデオじゃねえか! 深夜とはべつの意味で、「何時だと思ってんだ!」てなぐあいです。まだ9時とかそこらじゃあないですか。というか、9時だ。きっちり9時からエロビデオタイムか!
 ……ひょっとしたらヘッドホンが外れているのに気づいていないだけかもしれません。そうでなくって、こんな大音量であなた、外に筒抜けさせながら内で筒抜きなんてことがあっていいものか、と。
 と、思いながら、ガラガラガラと窓を閉じる音が聞こえ、野球中継の音が聞こえるか聞こえないかくらいになりました。おそらく、野球vsバラエティで戦っていたものが、急に野球vsエロビデオになったので、撤退を決意したのでしょう。
 結局、それから、30分以上は喘ぎ声大開放は続いたのでした。しかしなんでしょうね、エロビデオの喘ぎ声というやつは、一発でそれとわかるものですね。そこで本当に人間がセックスしているとは、まったく思えなかった(ひょっとしたらそうだったかもしれないですが)。自分としては、そのあたり、声を押し殺そうとするような、そのようなえろ(以下略)。
 まあ、これが続くようであれば自分でなく隣のアパート住人があちらの大家に文句を言うでしょうし、しばらくは性感していきたいと思います。おしまい。