ここのところ腹の調子が悪いのでネアンデルタール人に襲われないか心配です

 ここのところ腹の調子が悪い。思い当たるふしはあるか? 一つだけあるにはある。数日間、ビオフェルミンを切らしていた。正確には新ビオフェルミンS錠ビオフェルミン製薬株式会社が作っている。龍角散は株式会社龍角散が作っているし、パインアメはパイン株式会社が作っている。関係ないが。
 ただ、いくら銀様が推奨する乳酸菌(水銀燈が推奨していたのは、正確には乳酸菌飲料だし、なぜかカルシウムの効用を謳っていたのだが)のかたまりとはいえ、指定医薬部外品にすぎない。通販でも買える。糖尿病患者がアマリールなどを欠かすといったリスクに比べたら、なんということもないはずだ。それなのに、おれの腹の調子は悪くなった。

武田コンシューマーヘルスケア 新ビオフェルミンS錠 350錠 【指定医薬部外品】

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 それだけ、おれの身体は新ビオフェルミンS錠に頼りきっていたのだろうか。なにかおれ本来の善玉菌ないし善玉菌を作り出す器官が、「なにか外部から輸入されるから仕事しなくていいや」といって布団から出てこない、そんなことになってたのだろうか。それで、急に外部からの援助が断たれてパニックになっている……。そんなにやる気のない内臓があっていいものだろうか? おれの性格からすると、ありうる話ではあるが、腸と性格など結びつけるのはかなりのアクロバットが必要なように思える。
できる男はウンコがデカい (宝島社新書)

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 アクロバット、あったな。読んでないけど。となると、おれはできない男だから排泄物もいまいちなのだ、ということになる。あるいは、その逆かもしれない。いずれにせよ、おれの血統はおれで途絶える予定が濃厚なので、腹の調子が悪めの要素は人類という大きな枠からケシ粒一つ分くらい少なくなることになる。いずれ人類はでかい排泄物を排泄するものばかりになり、神類になるに違いない。北一輝もそんなことを言ってたような気がする(たぶん言ってない。逆に「而して吾人は亦目的論の哲學と生物進化の事實によりて、人類がこの排泄作用より脱し得べきことを確信す」、「この愚かなる智識の人類、この卑しむべき道徳の人類、この醜くき容貌の人類、排泄作用と交接作用とをなしつゝある人類の一日も早く滅亡して『神類』の世の來らんことは胸轟くべきの歡喜に非らずして何ぞ」とか言ってるが)。
 まあ、秋も深まってきたし、できないで淘汰されてきた人間のことに思いをはせてもいいだろう。なにかこう、ウサギのようにポロポロとしか排泄できない人類もいたのかもしれない。でも、なにか獣であるとかネアンデルタール人であるとか同じ人類であるとかに対して、ポロポロは優位に立てなかった。そこになんらかの弱みがあって滅ぼされてしまった。むなしい話である。あるいは、おれはそのむなしいものの子孫かもしれない。
 おれは今、また新ビオフェルミンS錠の摂取を始めた。すぐには効いてこない。だが、食後に欠かせぬ。新ビオフェルミンS錠依存症といっていい。ひどくなったら、赤玉はら薬を飲めばいい。赤玉はら薬は赤玉はら薬で、言いたいことはあるが、すでに言っていたので、この項はおしまいである。