ジャージ季節

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ジャージ季節。おれは日々その日の天気や雰囲気や景気動向指数に合わせて、厚手のジャージか薄手のジャージか軍の払い下げ品のジャージか新品だと一万二万するブランドの古着のジャージかユニクロのジャージかアメリカのスーパーで売られていたものがなぜか日本に古着として流れてきたと思われるジャージか人からもらったジャージか何らかのジャージかともかくジャージを着て出かける。職場につくと職場用のジャージがあるのでジャージを脱いでジャージを着る。ジャージをハンガーにかけてジャージを着る。帰るときはジャージを脱いでジャージを着る。アパートに帰るとジャージを脱いで、室内用のくたびれたジャージを着る。くたびれたジャージは安楽だ。こう考えてみるとおれという人間はジャージを着たり脱いだりしている存在である、と期待できる。ネイティブアメリカンに二つ名を付けられるとしたら「ジャージを着たり脱いだりする男」となるだろう。ニュージャージー州にはレナペ族という先住民がいる。「レナペ」は彼らの言葉で「真の人間」という意味らしい。おれは真のジャージがどこにあるか知らない。ニュージャージーにあるのだろうか?